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2016.04.13

贈与税の配偶者控除は夫婦間で居住用不動産を贈与したとき

贈与税の配偶者控除は同じ配偶者からの贈与について一生に一度しか適用を受けることができないから、きっかけやタイミングが問題となり慎重になりますね。
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合には、贈与税の基礎控除110万円の他に更に最高2,000万円まで控除できるという贈与税の配偶者控除の特例があります。不動産取得税や登記費用はかかりますが、贈与税が無税となる特例が用意されているのは非常に嬉しい話です。
以下、手続きなど本分は平成28年4月1日現在の改正法令等によります。

1.贈与の年に贈与者が死亡した場合の贈与税の配偶者控除の適用

まず贈与のタイミングから心配なことは、婚姻期間が20年以上の配偶者から居住用不動産の贈与を受けた年にその配偶者が死亡した場合に配偶者控除が適用できるか否かではないのでしょうか?
(1)被相続人から相続や遺贈によって財産を取得した人が、相続開始の年に被相続人から財産の贈与を受けていた場合には、その贈与を受けた財産については相続税の課税価格に加算されるため贈与税はかからないことになります。
(2)一方、相続開始の年に婚姻期間が20年以上である被相続人から贈与によって取得した居住用不動産については、過去にその被相続人からの贈与について配偶者控除を受けていないときは、その居住用不動産について贈与税の配偶者控除があるものとして控除される部分は、相続税の課税価格に加算されないことから、相続税の対象とはならないことになります。
(3)本題の配偶者控除の適用ですが、上記(2)の相続税の課税価格に加算されない部分は、贈与税の申告をすることになります。その贈与税の申告をする必要がある部分については、下記2の配偶者控除の適用要件を満たしている場合には、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができます。

2.贈与税の配偶者控除の特例を受けるための要件

贈与税の配偶者控除の特例を受けるためには、下記の要件をすべて満たす必要があります。
(1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
(2) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
(3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

3.贈与税の配偶者控除の対象となる居住用不動産の範囲

婚姻期間20年以上の夫婦の間で居住用不動産の贈与が行われ、一定の条件に当てはまる場合には贈与税の配偶者控除が受けられますが、対象となる居住用不動産の範囲は次の通りです。
(1) 対象となる居住用不動産は、贈与を受けた配偶者が居住するための国内の家屋又はその家屋の敷地です。居住用家屋の敷地には借地権も含まれます。
(2) 居住用家屋とその敷地は一括して贈与を受ける必要はありませんので、居住用家屋のみあるいは居住用家屋の敷地のみ贈与を受けた場合も配偶者控除を適用できます。
この居住用家屋の敷地のみの贈与について配偶者控除を適用する場合には、次のいずれかに当てはまることが必要です。
① 夫又は妻が居住用家屋を所有していること。
② 贈与を受けた配偶者と同居する親族が居住用家屋を所有していること。
(3)上記の具体的な事例は次の様な場合です。
例えば、妻が居住用家屋を所有していて、その夫が敷地を所有しているときに妻が夫からその敷地の贈与を受ける場合や、夫婦と子供が同居していて、その居住用家屋の所有者が子供で敷地の所有者が夫であるときに、妻が夫からその敷地の贈与を受ける場合などが考えられます。
(4)居住用家屋の敷地の一部の贈与であっても、配偶者控除を適用できます。
(5)居住用家屋の敷地が借地権のときに金銭の贈与を受けて、地主から底地を購入した場合も、居住用不動産を取得したことになり、配偶者控除を適用できます。
(6)居住用家屋の敷地が2筆以上でその一部に家屋が建っているのみの場合は、社会通念に照らして、居住用家屋の敷地として一体として使用されていると認められる部分について居住用不動産として取り扱われます。

4.贈与税の配偶者控除は低額譲受けによる利益相当額も適用

質疑応答照会事例より「夫から妻に時価3,670万円の居住用不動産を2,670万円で譲渡しました。妻は資力があり売買代金支払いの事実が認められます。
妻は低額譲受け部分の1,000万円について居住用不動産の贈与を受けたものとして贈与税の申告をすることとなります。 このような場合には、妻が贈与を受けたものとして課税対象となるのは、居住用不動産でなく、低額譲受けによる利益相当額であると考えられます。」このような場合は実質的には1,000万円相当の居住用不動産の贈与を受けたものとして贈与税の配偶者控除の適用が認められます。

5.贈与税の配偶者控除の特例適用を受けるための手続

贈与税の申告書に次の書類を添付して申告をすることが必要です。
(1)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本(2)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し(3)居住用不動産を取得したことを証する書類(改正により平成28年1月1日以後に贈与により取得する財産の贈与税について適用されます)従前は登記事項証明書でしたが改正後は贈与登記後の登記事項証明書に限らず、贈与契約書などを添付して申告することができます。
(4)その居住用不動産に住んだ日以後に作成された住民票の写し
戸籍の附票の写しに記載されている住所が居住用不動産の所在場所である場合には、住民票の写しの添付は不要となります。
上記の書類のほかに、金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、その居住用不動産を評価するための書類として固定資産評価証明書などが必要となります。

贈与税の配偶者控除のまとめ

贈与税は毎年110万円の基礎控除がありますが、1回で大きな節税効果を生じる魅力的な制度が贈与税の配偶者控除です。2,110万円までの贈与を受けても贈与税はかかりませんので、将来の相続対策としても配偶者の権利確保としても効果は絶大と言えます。 2,110万円を超えて居住用不動産の贈与をされる場合に、その超える部分の金額について適用される贈与税の一般贈与財産の一般税率の税率でも税率が低いと思われる方は事前に相談して下さい。
不動産の相続税評価額は時価に比べて低くなる傾向があります。同じ金額を贈与するならば、金銭による贈与よりは不動産による贈与の方が実質的には有利に財産を贈与することができますので、相続対策とともに事前に相談してください。

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