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2016.04.12

贈与税の計算方法から暦年課税と相続時精算課税に学ぶ

贈与税の計算方法を暦年課税の一般税率及び特例税率と相続時精算課税の特例を例題と算式を用いて納税額まで解説しています。 平成27年1月1日以後に贈与により財産を取得して、相続時精算課税を選択せず暦年課税により贈与税の申告・納付する場合は、暦年課税方式を適用する場合の贈与税の税率構造が見直され、贈与税の税額の計算方法は平成27年分以降の贈与税の税率について一般贈与財産に対するものと特例贈与財産に対するものに区分された贈与税の速算表により贈与税の税額を計算します。
適用対象者の拡充が図られ、適用要件を満たして相続時精算課税を選択する場合の贈与税の税額の計算方法は、特別控除額2500万円を超えた部分に対して一律20%の税率を適用します。 相続時精算課税による贈与税額を計算する際には、暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできませんので、贈与を受けた財産が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があります。 相続時精算課税を選択した場合は、その選択した贈与者からの贈与については、その選択した年分以降は全て相続時精算課税が適用され、暦年課税へ変更することはできませんので注意が必要です。

1.暦年課税で贈与税のかからない範囲と計算方法

平成28年4月1日現在の法令等による贈与税の基礎控除額は、毎年110万円です。毎年その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計した金額が基礎控除額110万円以下の場合には、贈与税はかかりません。
基礎控除額は毎年110万円ですが、その年の1年間に複数の人から贈与を受けた場合は、その金額の合計額が基礎控除額以下の場合にのみ贈与税はかかりません。

2.相続時精算課税の特例による贈与税の税額の計算方法

平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産の贈与税について、(1)の適用要件を満たし相続時精算課税制度を選択した場合の贈与税の税額の計算方法は、(3)の計算例を参考にして下さい。贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。その財産の贈与を受けた人は、その財産を贈与した人ごとに相続時精算課税を選択することができます。相続時精算課税を選択するためには、贈与税の申告書の提出期限までに贈与税の申告書と相続時精算課税選択届出書を税務署に提出しなければなりません。
(1) 贈与者及び受贈者の適用対象者要件が以下にあります。
① 贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母又は祖父母であること。
② 受贈者は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者のうち、贈与者の推定相続人である子又は孫であること。(贈与者の推定相続人とは、贈与をした日現在において、その贈与をした人の直系卑属のうち、最も先順位の代襲相続権を含む相続権のある人をいいます。したがって、養子又は代襲相続人も含まれます。
(2) 贈与財産の価額から控除する特別控除額及び税率と計算式
① 贈与財産の価額から控除する特別控除額は2500万円です。
前年までに既に特別控除額を使用した場合には、2500万円から既に使用した額を控除した残額が特別控除額となります。
② 特別控除後の課税価格に乗ずる贈与税の税率は、一律に20%です。
③ 相続時精算課税の税額の計算式は「特別控除後の課税価格×20%=贈与税額」です。
(3) 贈与により3000万円の財産を取得した場合の計算例
① 特別控除後の課税価格は「3000万円-2500万円=500万円」です。
② 贈与税額は「500万円×20%=100万円」となります。

3.暦年課税による贈与税の計算方法

平成28年4月1日現在の法令等による暦年課税の贈与税の計算方法は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。次に、その合計額から基礎控除額110万円と贈与税の配偶者控除を差し引きます。
計算式では、その年に贈与を受けた財産の合計額 -(基礎控除額+配偶者控除額)= 贈与税の課税価格となります。
更に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。実務上は計算に便利な速算表を利用します。速算表の利用に当たっては基礎控除額110万円と贈与税の配偶者控除を差し引いた後の金額を当てはめて計算してください。それにより贈与税額が分かります。
暦年課税による贈与税の計算方法には、一般贈与財産用の計算方法と特例贈与財産用の計算方法、一般贈与財産用と特例贈与財産用の両方の計算が必要な場合の計算方法があります。贈与税の具体的な税額計算は、以下の計算例4・5・6を参考にして下さい。何れも年間に3000万円の財産の贈与を受け改正前より贈与税負担が減少した例題で計算方法や税額を比較出来るようにしています。

4.暦年課税による贈与税の一般贈与財産用の一般税率を使用する場合

(1) 例えば、下記5の特例贈与に該当しない次のような贈与の場合に、一般贈与財産用の一般税率を使用する(2)の計算方法になります。
・ 直系尊属以外の親族(夫、夫の父や兄弟など)や他人から贈与を受けた場合
・ 直系尊属から贈与を受けたが、受贈者の年齢が財産の贈与を受けた年の1月1日現在において20歳未満の者の場合(20歳未満の子や孫の場合)
兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合、他人間における贈与などに使用しますので注意が必要です。
(2)暦年課税による一般贈与財産の価額が3,000万円の場合の計算例
基礎控除後の課税価格は、3,000万円 - 110万円 = 2,890万円となります。
贈与税の速算表の一般贈与財産用の一般税率は50%で控除額は250万円です。
一般贈与の贈与税の額は、2,890万円 × 50% - 250万円 = 1,195万円となります。

5.暦年課税による贈与税の特例贈与財産用の特例税率を使用する場合

(1)例えば、財産の贈与を受けた年の1月1日現在において20歳以上の子や孫が父母又は祖父母から贈与を受けた場合に、特例贈与財産用の特例税率を使用する(2)の計算方法になります。
(2)暦年課税による特例贈与財産の価額が3,000万円の場合の計算例
基礎控除後の課税価格は、3,000万円 - 110万円 = 2,890万円となります。
贈与税の速算表の特例贈与財産用の特例税率は45%で控除額は265万円です。
特例贈与の贈与税の額は、2,890万円 × 45% - 265万円 = 1,035.5万円となります。

6.暦年課税による贈与税の一般贈与財産用と特例贈与財産用の両方の計算が必要な場合

(1)例えば、20歳以上の方が、配偶者(一般贈与)と自分の両親(特例贈与)の両方から贈与を受けた場合などに、一般贈与財産用と特例贈与財産用の両方の計算が必要な(2)の計算方法になります。
(2)一般贈与財産用と特例贈与財産用の両方の計算が必要な計算方法
暦年課税による贈与税の一般贈与財産用と特例贈与財産用の両方の計算が必要な計算方法は、下記Aにより計算した税額と下記Bにより計算した税額を合計します。
A 全ての財産を「一般税率」で計算した税額に占める「一般贈与財産」の割合に応じた税額を計算します。
B 全ての財産を「特例税率」で計算した税額に占める「特例贈与財産」の割合に応じた税額を計算します。
C 納付すべき贈与税額は、A + B の合計額です。
(3)暦年課税による一般贈与財産の価額が1,000万円と特例贈与財産の価額が2,000万円で合計価額が3,000万円の場合の計算例
A ① その年中に受けたすべての贈与が「一般贈与財産」からなるものと仮定して計算した場合の贈与税額を計算します。この場合は合計価額3,000万円を基に次のように計算します。(全ての贈与財産を「一般贈与財産」として「一般税率」で税額計算します。) よって、上記4(2)と同じ計算方法で税率も同じで計算します。
基礎控除後の課税価格は、3,000万円 - 110万円 = 2,890万円
一般贈与の贈与税の額は、2,890万円 × 50% - 250万円 = 1,195万円となります。
② 上記①の贈与税額のうち、一般贈与財産に対応する贈与税額を「一般税率」で計算します。
一般贈与財産に対応する贈与税額は、1,195万円 × 1,000万円 ÷ (1,000万円+2,000万円)= 398.3333万円となります。(1円未満端数切り捨て)
B ① その年中に受けたすべての贈与が「特例贈与財産」からなるものと仮定して計算した場合の贈与税額を計算します。この場合は合計価額3,000万円を基に次のように計算します。(全ての贈与財産を「特例贈与財産」として「特例税率」で税額計算します。) よって、上記5(2)と同じ計算方法で税率も同じで計算します。
基礎控除後の課税価格は、3,000万円 - 110万円 = 2,890万円
特例贈与の贈与税の額は、2,890万円 × 45% - 265万円 = 1,035.5万円となります。
② 上記①の贈与税額のうち、特例贈与財産に対応する贈与税額を「特例税率」で計算します。
特例贈与財産に対応する贈与税額は、1,035.5万円 × 2,000万円 ÷ (1,000万円+2,000万円)= 690.3333万円となります。(1円未満端数切り捨て)
C 納付すべき贈与税額の計算は、Aの一般贈与財産の税額 + Bの特例贈与財産の税額 = 贈与税額となります。
上記の場合の納付すべき贈与税額は、Aの398.3333万円 + Bの690.3333万円 = 1,088.66万円となります。(100円未満端数切り捨て)

7.相続時精算課税の特例及び暦年課税と相続税との関係

(1)相続時精算課税の特例を選択した場合の相続税との関係
贈与者が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額に相続時精算課税を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算することになります。 その際に既に支払った贈与税相当額を相続税額から控除することになります。控除しきれない金額は還付できます。
(2)暦年課税の場合の相続税との関係
贈与者が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額に贈与財産の価額を原則として必要ありません。ただし、相続開始前3年以内に贈与を受けた財産の価額(贈与時の時価)を加算することになります。
(3)贈与税は相続税の補完税です。両者とも相続税との関係を考慮し、メリットとデメリットを考えて選択する必要があります。

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