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2016.06.28

相続税における生命保険金の取扱い注意点

相続税においては生命保険金を取得した場合に、その生命保険金を取得した者が相続を放棄した者及び相続権を失った者を含まない相続人であるときは相続により取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは遺贈により取得したものとみなして相続税の課税財産としています。
被相続人の死亡により相続人その他の者が取得した生命保険契約等の保険金は、被相続人の死亡による生命保険契約等の保険事故により保険金受取人がその契約に基づき原始的に取得するものであり、民法の規定による相続又は遺贈により取得するものではなく、生命保険契約の効力の発生により取得するものです。したがって、この保険金は、被相続人の財産を構成するものではありませんが、この保険金受取人については、被相続人の死亡を原因として、その保険金額に相当する経済的利益を取得することとなるので、相続税法においては被相続人の負担した保険料に対応する保険金について税負担の公平を図るために相続又は遺贈により取得したものとみなして課税財産としています。
本来の相続財産ではない死亡保険金を相続財産とみなして課税価格に算入する際の生命保険金の非課税限度額は、死亡退職金と同じくそれぞれ500万円×法定相続人の数で計算します。
相続人一人一人に課税される金額は、こちらに掲載しています。

1.相続又は遺贈により取得したものとみなされる生命保険金等

被相続人(遺贈者を含みます。)の死亡により相続人その他の者が取得した生命保険契約(これに類する共済に係る契約を含みます。)の保険金(共済を含みます。)又は偶然な自己に基因する死亡に伴い支払われる損害保険契約(これに類する共済に係る契約を含みます。)の保険金を取得した場合において、被相続人がその保険料(共済掛金を含みます。)の全部又は一部を負担しているときは、その保険金受取人(共済金受取人を含みます。)について、その取得した保険金額に被相続人が負担した保険料の金額が被相続人の死亡の時までに払い込まれた保険料の金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額を、その保険金受取人が相続人である場合には相続により取得したものとみなし、相続人以外の者であるときは、遺贈により取得したものとみなすこととされています。相続税の課税対象額を算式に表すと次のようになります。
取得保険金額×(被相続人が負担した保険料の金額÷被相続人の死亡時までに払い込まれた保険料の全額)
なお、相続税基本通達3-7によれば相続又は遺贈により取得したものとみなされる生命保険金等は、被保険者(被共済者を含みます。)の死亡(死亡の直接の基因となった傷害を含みます。)を保険事故(共済事故を含みます。)として支払われるいわゆる死亡保険金(死亡共済金を含みます。)に限られます。被保険者の傷害(死亡の直接の基因となった傷害を除きます。)、疾病その他これらに類するもので死亡を伴わないものを保険事故として支払われる保険金(共済金を含みます。)又は給付金は、当該被保険者の死亡後に支払われたものであっても、これに含まれないのであるから留意することとされています。
さらに、相続税基本通達3-7注意書きによれば、被保険者の傷害(死亡の直接の基因となった傷害を除きます。)、疾病その他これらに類するもので死亡を伴わないものを保険事故として支払われる次に掲げる(1)(2)の保険金又は給付金は、その被保険者の死亡後に支払われた場合には、被保険者たる被相続人の本来の財産として相続税の課税財産となり、保険金の非課税の対象外としてその全額が課税対象となります。
(1)被保険者の傷害(死亡の直接の基因となった傷害を除きます。次の(2)において同じ。)又は疾病を保険事故とする旨の特約のある生命保険契約において、これらの保険事故が発生して支払を受ける保険金又は給付金
(2)傷害を保険事故として支払われる後遺傷害保険金又は医療保険金
すなわち、相続又は遺贈により取得したものとみなされる保険金は、保険契約に基づいて保険事故の発生により保険金受取人が原始的に取得した保険金請求権を被相続人から相続又は遺贈により取得したものとみなします。

2.保険金受取人が取得した保険金で課税関係が生じない場合

相続税基本通達3-38によれば、保険金受取人の取得した保険金の額のうち、生命保険契約に関する権利に対する課税の規定により保険金受取人が生命保険契約に関する権利を相続又は遺贈により取得したものとみなされた部分に対応する金額又は自己の負担した保険料の金額に対応する部分の金額については、相続又は遺贈により取得する財産とはならないで、所得税の一時所得又は雑所得として課税対象となります。

3.生命保険金等の受取人についての注意点

相続税基本通達3-11によれば、相続又は遺贈により取得したものとみなされる生命保険金等における「保険金受取人」とは、その保険契約に係る保険約款等の規定に基づいて保険事故の発生により保険金を受け取る権利を有する者(保険契約上の保険金受取人)をいうものとするとしています。指定受取人がないときには、商法、旧簡易生命保険法、保険約款等の定めにより判断すべきものとされています。例えば、被相続人が保険金受取人となっている場合において、被相続人の死亡を保険事故とするものについて指定受取人がいないときには、団体定期普通保険約款では被保険者の配偶者、子、父母、祖父母、兄弟姉妹の順位により保険金受取人となり、また旧簡易生命保険法では被保険者の遺族が保険金受取人とされていました。
保険金受取人について、保険証券に記載されている保険金受取人と実際に保険金を取得した者が異なる場合があります。このため相続税法において「保険金受取人」とは保険証券に記載されている形式的な名義人をいうのか、それとも名義人にこだわらないで実質的な受取人をいうのかが問題となります。
相続税基本通達3-12によれば、保険契約上の保険金受取人以外の者が現実に保険金を取得している場合において、保険金受取人の変更の手続がなされていなかったことにつきやむを得ない事情があると認められる場合など、現実に保険金を取得した者がその保険金を取得することについて相当な理由があると認められるときは、上記にかかわらず、その者を相続若しくは遺贈により取得したものとみなす場合の保険金受取人とするものとしています。

4.生命保険金等とともに支払を受ける剰余金等

相続税基本通達3-8によれば、相続又は遺贈により取得したものとみなされる生命保険金等には、保険契約に基づき分配を受ける剰余金、割戻しを受ける割戻金及び払戻しを受ける前納保険料の額で、当該保険契約に基づき保険金とともに当該保険契約に係る保険金受取人(共済金受取人を含みます。)が取得するものを含むものとして取り扱っています。

5.契約者貸付金等がある場合の生命保険金等

相続税基本通達3-9によれば、保険契約に基づき保険金が支払われる場合において、当該保険契約の契約者に対する貸付金若しくは保険料の振替貸付けに係る貸付金又は未払込保険料の額(いずれも元利合計金額とします。)があるため、当該保険金の額から当該契約者貸付金等の額が控除されるときの相続又は遺贈のみなし規定の適用については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次によるとされています。

(1)被相続人が保険契約者である場合

保険金受取人は、当該契約者貸付金等の額を控除した金額に相当する保険金を取得したものとし、当該控除に係る契約者貸付金等の額に相当する保険金及び当該控除に係る契約者貸付金等の額に相当する債務はいずれもなかったものとします。

(2)被相続人以外の者が保険契約者である場合

保険金受取人は、当該契約者貸付金等の額を控除した金額に相当する保険金を取得したものとし、当該控除に係る契約者貸付金等の額に相当する部分については、保険契約者が当該相当する部分の保険金を取得したものとします。

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