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2016.04.25

消費税の税額計算の特例 (経過措置)

軽減税率が導入される平成29年4月から4年間は、簡素な区分経理の方法として「区分記載請求書等保存方式」が導入されます。この経理方式の段階では、売上げ及び仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者等に配慮して、売上げ及び仕入れの一定割合を軽減税率の対象品目のものとして税額を計算することができる特例が経過措置として設けられます。

1.消費税の売上税額の計算の特例(附則38~43)

現金商売の町の八百屋さんや魚屋さん、地方の商店などを想定して売上げを税率ごとに区分することが困難な事業者が、売上げの一定割合(軽減税率売上割合)を、軽減税率対象品目の売上げとして税額を計算する特例を適用することができます。
この特例の対象者は3つの区分に分かれており、それぞれの区分の軽減税率売上割合は以下のようになります。
① 仕入を管理できる卸売・小売事業者の場合は、
→ 仕入総額に占める軽減税率対象品目に係る仕入金額の割合
② ①以外の事業者の場合は、
→ 通常の連続する10営業日の売上総額に占める軽減税率対象品目の売上金額の割合
③ ①及び②の計算が困難な事業者の場合は、
→ 50%
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売上税額の計算の特例(出所)政府税制調査会資料
①の仕入れを管理できる卸売・小売事業者とは、簡易課税の適用を受けない事業者が対象です。仕入れた商品をそのまま販売する卸売・小売事業者は、売上げに占める軽減税率対象品目の売上げの割合と、仕入れに占める軽減税率対象品目の仕入れの割合は概ね一致することから、仕入れの管理ができていれば、「軽減税率対象品目の仕入額/仕入総額」の算式により売上税額を計算することが認められます。
②及び③の仕入れの区分ができない事業者等とは、1次生産者である農林水産業者、食品加工業者、簡易課税の適用を受ける卸売・小売事業者などです。これらの事業者等は、「通常の連続する10営業日の軽減税率対象品目の売上額/通常の連続する10営業日の売上総額」により計算することが認められます。つまり、通常の連続した10日間の売上げの管理ができてさえいれば簡素な方法で売上税額が計算できることとなります。
一方、仕入の管理も10日間の売上げの管理もできない③の主に軽減税率対象品目を販売する事業者は、最低の水準で益税目的の活用を防止するため、軽減税率売上割合は売上げの「50/100」とする規定が設けられています。かなり荒っぽい方法なので益税問題が再発して、消費税額のあり方についての信頼を失わないかと心配する声もあります。
基準期間における課税売上高が5千万円以下の中小事業者は、軽減税率が導入される平成29年4月から4年間、この売上税額の計算特例を選択することができます。中小事業者以外も、平成29年4月から平成30年3月の属する課税期間の末日までの期間に限り、同様の特例を選択することが可能です。

2.消費税の仕入税額の計算の特例

売上税額の計算の特例と同様に、現金商売のお店や地方の商店など仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者が、仕入れの一定割合(軽減税率仕入割合)を、軽減税率対象品目の仕入れとして税額を計算することができます。
この特例の対象者は2つの区分に分かれており、それぞれの区分の特例等は以下のようになります。軽減税率が導入される平成29年4月から平成30年3月の属する課税期間の末日までの期間、以下の特例を選択することができます。
① 売上げを管理できる卸売・小売事業者の場合は、
→ 売上総額に占める軽減税率対象品目に係る売上金額の割合
② ①の計算が困難な事業者の場合は、
→ 事後選択により簡易課税制度の適用が可能
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仕入税額の計算の特例(出所)政府税制調査会資料
①の売上げを管理できる卸売・小売事業者とは、簡易課税の適用を受けない事業者が対象です。仕入れた商品をそのまま販売する卸売・小売事業者は、売上げに占める軽減税率対象品目の売上げの割合と、仕入れに占める軽減税率対象品目の仕入れの割合は概ね一致することから、売上げの管理ができていれば、「軽減税率対象品目の売上額/売上総額」の算式により仕入税額を計算することが認められます。
②の売上げや仕入れの管理ができず①の方法で仕入税額の計算ができない事業者については、基準期間における課税売上高が5千万円以下の中小事業者は、現行では課税期間の開始前に選択しなければならない簡易課税制度の適用が事後選択により受けられるようになりますので、同制度に準じた方法により仕入税額を計算することができます。中小事業者以外も同様の特例が受けられます。

3.消費税の税額計算の特例の課題

消費税の軽減税率制度導入に反対していた日本税理士会連合会ですが、複数税率が成立した以上は、納税者に過度な事務負担が及ばないように運動するとしています。現行の請求書等保存方式から適格請求書等保存方式の導入の過程で平成29年4月から区分記載請求書等保存方式が導入されます。区分記載請求書等保存方式の段階では消費税の税額計算の特例が設けられましたが、次のような問題点が指摘されています。
(1)軽減税率売上割合の特例の課題
もともと日本の消費税は、免税店の低さ、簡易課税制度、ゼロ税率の不存在、課税対象の不合理、平成33年から導入されるもののインボイスが不存在であったことからみて本来の付加価値税とはいえないという批判を受けています。更に、売上税額の計算の特例では益税の問題が指摘されています。
(2)軽減税率仕入割合の特例の課題
仕入税額の計算の特例においては、事業者を2つに区分するも何れも特例という枠を超え、益税が多額に生じて付加価値税の計算と認められものではないと指摘されています。

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