2016.04.23

消費税の軽減税率の導入に伴う事業者の事務負担Q&A

消費税は消費者が買い物をした際などに支払いますが、実際に税務署に納めるのは事業者です。
Q: 消費税の軽減税率の導入に伴い、平成29年4月から、事業者の皆さんは事業の中でどのような対応が必要となるのでしょうか?
A: 消費税の軽減税率の導入に伴い、事業者の事業の中で対応が必要となる事項には「商品管理」に関するものと「申告・納税」に関するものがあります。

1.消費税の軽減税率導入に伴う事業者の業務実務(商品管理)

消費者及び事業者の顧客から消費税の適用税率を聞かれたり、複数税率に対応した請求書及び領収書の発行を求められるケースが生じてくることが想定されます。
(1) そのため、日々の業務において適切な商品管理を行い、個々の商品の適用税率を把握しておく必要があります。
(2) その際、複数税率に対応したレジの導入等やシステムの改修等が必要になる場合があります。
(3) たとえば具体的な対応として、仕入の際には、納品書に記載された各品目の適用税率が正しいか確認し、確認した適用税率を商品に貼付等する価格ラベルに記載しておいたり、適用税率確認用の早見表や簡易システムなどを作成する方法があります。
(4) そして販売の際に、消費者から適用税率を聞かれた場合には、価格ラベルなどを見て適用税率を説明します。事業者から請求書の発行を求められた場合には、価格ラベルなどを見て、① 軽減税率対象品目である旨の印、② 適用税率ごとの取引金額、が記載された請求書を発行します。

2.区分経理に基づく税額計算方法による納税事務

売上高1,000万円以下の免税事業者は、現在も消費税の納税を免除されており、軽減税率の導入後においても経理の方法は変わりませんが、実際に消費税の納税額を計算する際には、「軽減税率が適用される1年間の取引の合計額」と「標準税率が適用される1年間の取引の合計額」を区分して計算する必要があります。インボイスが導入されるまでは、現在使われている請求書を活用した簡素な方式で納税額を計算したり、売上高に一定の割合を掛ける、いわゆる「みなし課税」で税額を計算したりするなどの経過措置をとり、2段階で経理方式を軽減税率に対応した仕組みに移行します。
(1) そのため、日々、軽減税率が適用される売上と標準税率が適用される売上を、それぞれ集計・区分して記帳する「売上の区分経理」を行います。
(2) また、受領した請求書に基づいて、軽減税率が適用される仕入と、標準税率が適用される仕入を、それぞれ集計・区分して記帳する「仕入の区分経理」も行います。
(3) この区分経理に基づいて、売上税額と仕入税額を計算します。
(4) 消費税の申告・納税に当たっては、適正な課税を確保する観点から、軽減税率制度の導入にあわせて、複数税率制度に対応した仕入税額控除の方式として、「適格請求書等保存方式」が平成33年4月から導入されます。
(5) なお、事業者の準備等に配慮し、平成29年4月から4年間は経過措置として簡素な方法(「区分記載請求書等保存方式」及び税額計算の特例)が導入されます。
(6) 現行の請求書等保存形式から区分記載請求書等保存形式と適格請求書等保存方式(いわゆる「インボイス制度」)の施行スケジュールを政府広報オンラインHPでは、下図の様にイメージしています。
jigyosha01
jigyosha02
消費税の納税事務である区分経理の簡易な方法である区分記載請求書等保存方式と適格請求書等保存方式の詳細については別途掲載します。

2016.04.22

消費税の軽減税率と対象品目について

平成29年4月1日から適用される軽減税率は「酒類・外食を除く飲食料品」及び「週2回以上発行される新聞の定期購読料」が対象品目となります。消費税の標準税率と軽減税率という複数の消費税率の下で、外食の定義を場所と態様の2つの要素に着目して判断することとなり、軽減税率の適用にあたり線引きが行われます。

1.消費税の軽減税率の対象品目の範囲

飲食料品にかかる軽減税率の対象品目は前掲の財務省資料図の通りで、飲食設備のある場所で飲食サービスの提供を受ける「外食」と、酒税法に規定され酒税が課される「酒類」を除く、食品表示法に規定する飲食料品の譲渡が対象です。医薬品や医薬部外品等は対象外となります。
また、玩具付のお菓子など、軽減税率の対象品目にあたる飲食料品を他の商品と一体で販売する「一体商品」については、消費税・税抜き販売価額が1万円以下で、食品が占める価額の割合が3分の2以上のものに限り、その全体が軽減税率の対象となります。

2.消費税の標準税率の対象となる外食の定義

標準税率の対象となる外食とは、「食品衛生法上の飲食店営業その他のその場で飲食させるサービスの提供を行う事業を営む者が、テーブル、椅子その他のその場で飲食させるための設備を設置した場合で行う「食事の提供」その他これに類するもの」と定義しています。その他これに類するものとは、ケータリングや出張料理の様に相手方の注文に応じて指定された場所で調理等を行うことをいいます。取引の「場所」と「態様」(食事の提供にあたるか)に着目して、軽減税率適用の線引きが行われます。
つまり、買った飲食物の店内の客席での飲食であるイートインは「外食」に当たりますが、飲食設備があるお店でもテイクアウト・出前・宅配等は「外食」には当たらないことになります。当初の政府税制調査会資料の例示では、ハンバーガー店・そば屋・ピザ屋・ショッピングモール等にあるフードコート・寿司屋などでの店内飲食は外食に該当しますが、ハンバーガー店のテイクアウト、そば屋の出前、ピザの宅配、飲食設備のない屋台での軽食、寿司屋のお土産などは外食に該当しないとしました。
また、コンビニエンスストアなどイートイン・コーナーがあるお店では、トレイに載せて座席まで運ばれたり返却の必要がある食器に盛られた食品など、イートイン・コーナーでの飲食を前提に提供される飲食料品は外食として取り扱われますが、お弁当やお惣菜など容器に入れたり包装を施して持ち帰りが可能な状態で販売される飲食料品は外食に当たらないことになります。
なお、出前や宅配は加工食品の配達という趣旨から外食に当たらず軽減税率が適用されますが、客が指定した自宅やホテルに出向いて調理や給仕を伴う「ケータリング・出張料理等」は外食として扱われます。その一方で、有料老人ホーム等で行う飲食料品の提供については、軽減税率の適用対象に含まれます。政府広報オンラインでは一般的な事例として外食にあたらない事例(軽減税率8%を適用)と外食にあたる事例(標準税率10%を適用)に区分して下図に示しています。なお、「テイクアウト(8%)か店内飲食(10%)かは、販売事業者が、販売時点で、必要に応じて顧客に意思確認を行うなどにより、判断することになります」と注記しています。
taisyo08

3.消費税の軽減税率制度に関するQ&Aより

(1)飲食料品の範囲について

軽減税率の対象品目である飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除きます。以下、食品といいます。) 食品表示法に規定する食品とは、全ての飲食物をいい、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に規定する医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品を除き、食品衛生法に規定する添加物を含むものとされています。 ここでいう飲食物とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいます。 また、飲食料品には、食品と食品以外の資産があらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているもの(その一の資産に係る価格のみが提示されているものに限ります。以下、一体資産といいます。)のうち、一定の要件を満たすものも含みます(一体資産については、下記(3)一体商品をご参照ください。)。
したがって、飲食料品とは、人の飲用又は食用に供えされる、医薬品、医薬部外品、再生医療等製品、酒税法に規定する酒類を除き、次の①から④をいいます。
① 米殻や野菜、果実などの農産物、食肉や生乳、食用鳥卵などの畜産物、魚類や貝類、海藻類などの水産物
② めん類・パン類、菓子類、調味料、飲料等、その他製造又は加工された食品
③ 食品衛生法に規定する添加物
④ 一体資産のうち、一定の要件を満たすもの
※ 軽減税率が適用される取引か否かの判定は、事業者が課税資産の譲渡等を行う時、すなわち、飲食料品を提供する時点(取引を行う時点で)で行うこととなります。
したがって、飲食料品の譲渡の判定に当たっては、販売する事業者が、人の飲用又は食用に供されるものとして譲渡した場合には、顧客がそれ以外の目的で購入し、又はそれ以外の目的で使用したとしても、当該取引は飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率の適用対象となります。平成28年4月12日に制定された消費税の軽減税率制度に関する法令解釈通達によれば、人の飲用又は食用以外の用途に供するものとして取引される次に掲げるようなものは、飲食が可能なものであっても食品に該当しないことに留意するとしています。
① 工業用原材料として取引される塩
② 観賞用・栽培用として取引される植物及びその種子
そして、人の飲用又は食用に供されるものとして譲渡した食品が、購入者により他の用途に供されたとしても、当該食品の譲渡は、改正法附則第34条第1項第1号に掲げる飲食料品の譲渡に該当すると注記しています。

(2)食事の提供について

軽減税率の適用対象外となる「外食」については、①取引の場所と②取引の態様(「サービスの提供」と言えるか)という点に着目し、ケータリング・出張料理等を含めて二つの類型を定義しています。
イ.外食
① テーブル、いす、カウンター等の飲食に用いられる設備のある場所で行う、
② 飲食料品を飲食させるサービス
ロ.ケータリング・出張料理等
① 顧客が指定した場所において行う、
② 加熱、調理又は給仕等の役務を伴う飲食料品の提供
③ 有料老人ホーム等の一定の生活を営む施設において行う一定の飲食料品の提供や学校給食等は、「ケータリング・出張料理等」から除外され、軽減税率(8%)の適用対象となります。

(3)一体商品(一体資産)について

一体商品とは、おもちゃ付のお菓子 や、コーヒーとカップとが一緒になっているコーヒーギフトセットなど、あらかじめ軽減税率の適用対象である食品(酒類を除く)と食品以外の商品とが一体として販売されるもの(その一体商品の価格のみが提示されているものに限ります。)をいいます。
一体商品は、原則、軽減税率の適用対象外となりますが、販売価額(税抜き)が1万円以下の商品であって、その商品の食品から構成されている部分の価額の占める割合として合理的な方法により計算した割合が3分の2以上のものは、全体が軽減税率(8%)の適用対象となります。

4.消費税の軽減税率と対象品目のまとめ

国税庁ではホームページ上に「消費税の軽減税率制度に関する特設サイト」を開設し、消費税の軽減税率制度に関するQ&A制度概要編・個別事例編を掲載しています。
ところで、各国の標準税率と食料品の軽減税率との差が気になります。
イギリスでは標準税率20%に対して軽減税率は0%です。フランスでは標準税率20%に対して軽減税率は5.5%です。ドイツでは標準税率19%に対して軽減税率は7%です。イタリアでは標準税率22%に対して軽減税率は10%です。メキシコでは標準税率16%に対して軽減税率は0%です。オーストラリアでも標準税率10%に対して軽減税率は0%です。日本は標準税率10%に対して軽減税率は8%で軽減感を感じないのは私だけでしょうか。

2016.04.21

消費税の軽減税率の制度の内容と対象品目について

消費税率が10%に引き上げられる平成29年4月1日から消費税の軽減税率の導入が成立し、その対象品目「飲食料品の譲渡」について飲食料品の譲渡から除外される外食、飲食料品の譲渡に含まれる一体商品や、有料老人ホーム等で行う食事の提供などが明らかになっています。

1.消費税の軽減税率と対象品目

平成29年4月1日から消費税の税率が10%に引き上げられることに伴い、消費者の痛税感緩和や低所得者への配慮から、同日より消費税の軽減税率制度が導入されます。 標準税率は10%(国分:7.8%、地方分:2.2%)ですが、軽減税率は8%(国分:6.24%、地方分:1.76%)となります。低所得者の生活必需品への負担軽減の観点から、酒類及び外食を除く飲食料品や週2回以上発行される新聞の定期購読料などが、軽減税率の対象品目に該当することとなります。国税庁では消費税の軽減税率と対象品目に関する取扱通達とQ&Aを公表しています。下図は財務省資料による酒類・外食を除く飲食料品の対象品目のイメージです。
taisyo

2.消費税の複数税率には適格請求書等保存方式を導入

消費税の標準税率と軽減税率の複数の消費税率の下で適正な課税を確保するため、平成33年4月から「適格請求書等保存方式」(いわゆる「インボイス制度」)が導入されます。事業者の準備等に配慮して平成29年4月から4年間は、「区分記載請求書等保存方式」と「仕入及び売上に係る税額計算の特例」の簡素な方法が導入されます。軽減税率対策補助金事務局より軽減税率の導入に伴うレジ改修等の補助金の補助内容など詳細が公表されています。レジに係る軽減税率対策補助金は、複数税率対応レジの導入支援と受発注システムの改修等支援の2つの申請類型があり、中小企業が対象となります。

3.消費税の軽減税率の導入に関する政府の方針

消費税の軽減税率の導入により、税収は1兆円程度減収となりますが、政府は、平成28年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置を講じて安定的な恒久財源の確保に努めることとしています。また、円滑に制度を導入・運用するため、必要な体制を整備するとともに事業者の準備状況等を検証しつつ必要な措置を講ずるなど、事業者や消費者に混乱が生じないよう万全の準備を進める方針です。

« Previous