2016.08.09

どうなる消費税の税率引上げ適用時期の変更に伴う税制上の改正措置

政府与党は、消費税の税率引上げ時期の変更に伴う税制上の改正措置を正式決定しました。住宅ローン減税、住宅取得等資金の贈与税の非課税措置など所得税・贈与税への影響も気になります。これは税制改正大綱に相当するもので、例年の与党税制改正大綱と同様で「基本的考え方」と「具体的内容」の二部構成となっています。消費税率10%への引上げ及び軽減税率制度の導入を平成31年10月に2年半延期するとともに、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入を平成35年10月に延期することが柱となっています。ほとんどの措置は、税率引上げ延期に伴う適用時期の変更ですが、「税額計算の特例」については、内容を変更し、大規模事業者の適用を認めないこととしました。
この他関連措置として「転嫁対策」「総額表示義務の特例」及び「住宅ローン減税の拡充措置」の適用期限延長、「住宅取得等資金贈与の特例」の非課税枠を上乗せする期間の延期なども行われます。これを踏まえ、政府は秋の臨時国会に関連法案を提出するようです。

1.消費税の税額計算の特例は中小事業者に限定

ほとんどが消費税の税率引上げ延期に伴う適用時期の変更ですが、消費税の税額計算の特例については、内容を変更している点にも注目しましょう。

(1)消費税率10%への引上げ時期の変更

消費税率10%への引上げの「施行日」を平成31年10月1日に、請負工事等に係る適用税率の経過措置の「指定日」を31年4月1日としました。

(2)軽減税率制度の導入時期の変更

消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置として、「軽減税率制度」の導入時期を31年10月1日に延期することとしています。

(3)消費税の税額計算の特例の適用についての変更

これを踏まえて軽減税率制度の導入後の一定の間は、区分経理が困難な事業者を対象に適用を認めることとしていた「税額計算の特例」の適用時期も2年半延期されます。
さらに特例の適用は中小事業者に限定されます。システム整備が間に合わない場合を想定して、1年間に限り、大規模事業者も特例の適用を可能としていましたが、「軽減税率制度」の導入時期の延期を踏まえ、適用を認めないことと変更されます。

2.適格請求書発行事業者の登録時期の延期

いわゆるインボイス制度の導入時期が平成33年4月1日から延期されるか否かに注目が集まっていましたが、平成35年10月1日まで2年半延期することとしました。これに伴い、適格請求書発行事業者の「登録」についても申請受付開始を平成33年10月1日に延期されます。
また、インボイス制度の導入後も6年間は、免税事業者からの仕入税額控除を一定割合認めることとしていましたが、この経過措置の実施時期も変更されます。平成35年10月1日から平成38年9月30日までは仕入税額相当額の80%、平成38年10月1日から平成41年9月30日までは同50%の控除ができることとしました。

3.総額表示義務の特例の延長

消費税転嫁対策特別措置法の適用期限(平成30年9月30日)を平成33年3月31日まで2年半延長することとしました。
同法では、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」を講じていれば税込価格を表示することを要しない「総額表示義務の特例」が認められています。

4.どうなる住宅ローン減税、住宅取得等資金の贈与税の非課税措置

税率引上げ時期の延期(増税延期)を踏まえて、反動減対策も以下のように延期されます。

(1)住宅ローン減税等の適用期限の延長

住宅ローン減税(10年間合計で最大500万円の税額控除)等の適用期限(平成31年6月30日)を平成33年12月31日まで延長することとしました。

(2)住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置については、消費税率引上げの反動減対策としまして、平成28年10月以降、10%の税率が適用される住宅について非課税枠を上乗せし、3,000万円まで拡大(31年6月末まで段階的に縮小)することとしていましたが、この「上乗せ非課税枠」の適用期間を「平成31年4月1日から平成33年12月31日」まで2年半延長されます。
一方、現行1,200万円の非課税枠については、平成33年12月31日まで2年半延長されます。

(3)地方法人課税の偏在是正に係る措置の延期

地方税では、法人住民税法人税割の引下げなど、消費税率10%段階の地方法人課税の偏在是正に係る措置の施行日を平成31年10月1日に延期されます。

2016.05.02

消費税の軽減税率の適用対象とケータリングや出張料理の場合

ケータリングや出張料理は、消費税の軽減税率の適用対象となる飲食料品の譲渡には含まれないとされています。相手方が指定した場所において行う役務を伴う飲食料品の提供であっても一定の基準を満たす飲食料品の提供については、消費税の軽減税率の適用対象とされています。ケータリングや出張料理の場合、家事代行の場合、有料老人ホームの飲食料品の提供の場合、学生食堂の場合、病院食の場合の事例を国税庁消費税軽減税率制度対応室が解説している「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」(個別事例編)の「外食の範囲」から整理すると以下の様になります。

1.ケータリングや出張料理の場合

軽減税率の適用対象となる飲食料品の譲渡には、相手方が指定した場所において行う加熱、調理又は給仕等の役務を伴う飲食料品の提供(いわゆるケータリング、出張料理)は含まれないこととされています。
(1)いわゆるケータリング、出張料理は、相手方が指定した場所で、飲食料品の提供を行う事業者が食材等を持参して調理して提供するものや、調理済みの食材を当該指定された場所で加熱して温かい状態で提供すること等をいい、具体的には以下のような場所が該当します。
① 相手方が指定した場所で飲食料品の盛り付けを行う場合
② 相手方が指定した場所で飲食料品が入っている器を配膳する場合
③ 相手方が指定した場所で飲食料品の提供とともに取り分け用の食器等を飲食に適する状態に配置等を行う場合
(2)したがって、いわゆる出張料理は、顧客の自宅で調理を行って飲食料品を提供していることから、相手方の指定した場所において行う役務を伴う飲食料品の提供に該当し、軽減税率の適用対象外となります。

2.軽減税率の適用対象とされるケータリング、出張料理の基準

相手方が指定した場所において行う役務を伴う飲食料品の提供であっても、次の施設において行う一定の基準を満たす飲食料品の提供については、軽減税率の適用対象とされています。その一定の基準は、下記①~⑦の施設の設置者等が同一の日に同一の者に対して行う飲食料品の提供の対価の額(税抜き)が一食につき640円以下であるもののうち、その累計額が1,920円に達するまでの飲食料品の提供であることとされています。また、累計額の計算方法につきあらかじめ書面で定めている場合にはその方法によることとされています。
① 老人福祉法第29条第1項の規定による届出が行われている有料老人ホームにおいて、当該有料老人ホームの設置者又は運営者が、当該有料老人ホームの一定の入居者に対して行う飲食料品の提供
その一定の入居者は、60歳以上の者、要介護認定・要支援認定を受けている60歳未満の者又はそれらの者の配偶者に限られます。
② 高齢者の住居の安定確保に関する法律第6条第1項に規定する登録を受けたサービス付き高齢者向け住宅において、当該サービス付き高齢者向け住宅の設置者又は運営者が、当該サービス付き高齢者向け住宅の入居者に対して行う飲食料品の提供
③ 学校給食法第3条第2項に規定する義務教育諸学校の施設において、当該義務教育諸学校の設置者が、その児童又は生徒の全て(※)に対して学校給食として行う飲食料品の提供
④ 夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律第2条に規定する夜間課程を置く高等学校の施設において、当該高等学校の設置者が、当該夜間課程において行う教育を受ける生徒の全て(※)に対して夜間学校給食として行う飲食料品の提供
⑤ 特別支援学校の幼稚部又は高等部における学校給食に関する法律第2条に規定する特別支援学校の幼稚部又は高等部の施設において、当該特別支援学校の設置者が、その幼児又は生徒の全て(※)に対して学校給食として行う飲食料品の提供
⑥ 学校教育法第1条に規定する幼稚園の施設において、当該幼稚園の設置者が、その施設で教育を受ける幼児の全て(1)に対して行う学校給食に準じて行う飲食料品の提供⑦ 学校教育法第1条に規定する特別支援学校に設置される寄宿舎において、当該寄宿舎の設置者が、当該寄宿舎に寄宿する幼児、児童又は生徒に対して行う飲食料品の提供
※ アレルギーなどの個別事情により全ての児童又は生徒に対して提供することができなかったとしても軽減税率の適用対象となります。

3.家事代行の場合

軽減税率の適用対象となる飲食料品の譲渡には、相手方が指定した場所において行う加熱、調理又は給仕等の役務を伴う飲食料品の提供(いわゆるケータリング、出張料理)は含まれないこととされています。
顧客の自宅で料理を行い、飲食料品を提供するサービスは、いわゆるケータリング、出張料理に該当しますので、軽減税率の適用対象外となります。

4.出前、配達など出張の適用税率

そばの出前、宅配ピザの配達は、顧客の指定した場所まで単に飲食料品を届けるだけであるため、飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率の適用対象となります。
(注)顧客の指定した場所まで単に飲食料品を届けることは、食事の提供には該当せず、また、いわゆるケータリング、出張料理にも該当しません。

5.有料老人ホームの飲食料品の提供の場合

(1)軽減税率の適用対象となる有料老人ホームにおいて行う飲食料品の提供とは、老人福祉法第29条第1項の規定による届出が行われている有料老人ホームにおいて、当該有料老人ホームの設置者又は運営者が、当該有料老人ホームの一定の入居者に対して行う飲食料品の提供をいいます。
(2)また、軽減税率の適用対象となるサービス付き高齢者向け住宅において行う飲食料品の提供とは、高齢者の住居の安定確保に関する法律第6条第1項に規定する登録を受けたサービス付き高齢者向け住宅において、当該サービス付き高齢者向け住宅の設置者又は運営者が、当該サービス付き高齢者向け住宅の入居者に対して行う飲食料品の提供をいいます。
(3)これらの場合において、有料老人ホーム等の設置者又は運営者が、同一の日に同一の者に対して行う飲食料品の提供の対価の額(税抜)が一食につき640円以下であるもののうち、その累計額が1,920円に達するまでの飲食料品の提供であることとされています。
(4)ただし、設置者等が同一の日に同一の入居者等に対して行う飲食料品の提供のうち、その累計額の計算の対象となる飲食料品の提供(640円以下のものに限る。)をあらかじめ書面により明らかにしている場合には、その対象飲食料品の提供の対価の額によりその累計額を計算するものとされています。
(5)例えば、有料老人ホームで、税抜価格、朝食500円、昼食550円、夕食640円で、昼食と夕食の間の15時に500円の間食を提供している時は、あらかじめ書面により、その累計額の計算の対象となる飲食料品の提供を明らかにしていない場合は以下のとおりとなります。
朝食(軽減)   昼食(軽減)   間食(軽減)   夕食(標準)   合計(内軽減税率対象)
500<=640円 550<=640円 500<=640円 640<=640円 = 2,190円(1,550円)
(累計500円) (累計1,050円) (累計1,550円) (累計2,190円)
夕食は、一食につき640円以下ですが、朝食から夕食までの対価の額の累計額が1,920円を超えていますので、夕食については、軽減税率の適用対象外となります。
(6)なお、あらかじめ書面において、累計額の計算の対象となる飲食料品の提供を、朝食、昼食、夕食としていた場合は以下のとおりとなります。
朝食(軽減)   昼食(軽減)   間食(標準)   夕食(軽減)   合計(内軽減税率対象)
500<=640円 550<=640円 500<=640円 640<=640円 = 2,190円(1,690円)
(累計500円) (累計1,050円) 累計対象外(累計1,690円)

6.学生食堂の場合

(1)軽減税率の適用対象となる学校給食とは、学校給食法第3条第2項に規定する義務教育諸学校の施設において、当該施設の設置者が、その児童又は生徒の全てに対して学校給食として行う飲食料品の提供をいいますので、利用が選択制である学生食堂での飲食料品の提供はこれに該当しません。
(2)また、学生食堂での飲食料品の提供は、飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供に該当しますので、軽減税率の適用対象外となります。
(3)学校給食法第3条第2項に規定する義務教育諸学校とは、
第3条 この法律で学校給食とは、前条各号に掲げる目標を達成するために、義務教育諸学校において、その児童又は生徒に対し実施される給食をいう。
第2項 この法律で義務教育諸学校とは、学校教育法に規定する小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中等部をいう。

7.病院食の場合

健康保険法等の規定に基づく入院時食事治療費に係る病院食の提供は非課税とされていることから、消費税は課されません。
なお、患者の自己選択により、特別メニューの食事の提供を受けている場合に支払う特別の料金については、非課税となりません。また、病室等で役務を伴う飲食料品の提供を行うものですので、飲食料品の譲渡に該当せず、軽減税率の適用対象外となります。

2016.05.01

消費税の軽減税率と食事の提供について外食の形式別事例

食事の提供で消費税の軽減税率の対象とならない外食の範囲について国税庁消費税軽減税率制度対応室が解説している「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」(個別事例編)の「外食の範囲」から軽減税率の適用対象外となる食事の提供で外食を形式別に整理してみると以下のようになります。
(1)軽減税率の適用対象とならない食事の提供とは、飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいます。
(2)飲食設備とは、テーブル、椅子、カウンター等で飲食料品を飲食させるための設備をいいます。ここでいう飲食設備は、飲食のための専用の設備である必要はなく、また、飲食料品の提供を行う者と飲食設備を設置又は管理する者が異なる場合であっても飲食料品の提供を行う者と設備設置者との間の合意等に基づき、当該飲食設備を飲食料品の提供を行う者の顧客に利用させることとしているときは、飲食設備に該当します。

1.社員食堂で飲食料品を提供する場合

軽減税率の適用対象とならない食事の提供とは、飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいます。
会社内や事業所内に設けられた社員食堂で提供する食事も、その食堂において、社員や職員に、飲食料品を飲食させる役務の提供を行うものであることから、食事の提供に該当し、軽減税率の適用対象外となります。

2.セルフサービスの飲食店の場合

セルフサービスの飲食店であっても、顧客にその店舗のテーブル、椅子、カウンター等の飲食設備を利用させて、飲食料品を飲食させていますので、軽減税率の適用対象外となります。

3.屋台での飲食料品の提供の場合

屋台のおでん屋やラーメン屋で、テーブル、椅子、カウンター等の飲食設備で飲食させている場合は、軽減税率の適用対象外となります。
ここでいう飲食設備は、飲食のための専用の設備である必要はなく、また、飲食料品の提供を行う者と飲食設備を設置又は管理する者(以下、設備設置者といいます。)が異なる場合であっても飲食料品の提供を行う者と設備設置者との間の合意等に基づき、当該飲食設備を飲食料品の提供を行う者の顧客に利用させることとしているときは、飲食設備に該当します。そのため、屋台を営む事業者が、
① 自らテーブル、椅子、カウンター等を設置している場合
② 自ら設置はしていないが、例えば、設備設置者から使用許可等を受けている場合は、軽減税率の適用対象外となります。一方、
③ テーブル、椅子、カウンター等がない場合
④ テーブル、椅子、カウンター等はあるが、例えば、公園などの公共のベンチ等で特段の使用許可等をとっておらず、顧客が使用することもあるがその他の者も自由に使用している場合は、軽減税率の適用対象となります。

4.コンビニエンスストアのイートインスペースでの飲食の場合

イートインスペースを設置しているコンビニエンスストアにおいて、例えば、トレイや返却が必要な食器に入れて飲食料品を提供する場合などは、店内のイートインスペースで飲食させる食事の提供であり、軽減税率の適用対象外となります。
ところで、コンビニエンスストアでは、ホットスナックや弁当のように持ち帰ることも店内で飲食することも可能な商品を扱っており、このような商品について、店内で飲食させるか否かにかかわらず、持ち帰りの際に利用している容器等に入れて販売することがあります。このような場合には、顧客に対して店内飲食か持ち帰りかの意思確認を行うなどの方法で、軽減税率の適用対象となるかならないかを判定していただくこととなります。 なお、その際、大半の商品(飲食料品)が持ち帰りであることを前提として営業しているコンビニエンスストアの場合において、全ての顧客に店内飲食か持ち帰りかを質問することを必要とするものではなく、例えば、「イートインコーナーを利用する場合はお申し出下さい」等の提示をして意思確認を行うなど、営業の実態に応じた方法で意思確認を行うこととして差し支えないそうです。

5.ファストフードのテイクアウトの場合

軽減税率の適用対象とならない食事の提供とは、飲食店営業等を営む者が飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいますが、いわゆるテイクアウトなど、飲食料品を、持ち帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う譲渡(以下、持ち帰りといいます。)は、これに含まないものとされています。
事業者が行う飲食料品の提供が、食事の提供に該当するのか、又は持ち帰りに該当するのかは、その飲食料品の提供を行った時において、例えば、その飲食料品について、その場で飲食するのか又は持ち帰るのかを相手方に意思確認するなどの方法により判定していただくことになります。

6.飲食店で残りを持ち帰る場合

その場で飲食するために提供されたものは、その時点で食事の提供に該当し、その後持ち帰ることとしても、飲食料品の譲渡に該当せず、軽減税率の適用対象外となります。

7.飲食店のレジ前の菓子等の販売の場合

単に飲食料品を販売しているものと考えられることから、飲食料品を飲食させる役務の提供に該当せず、飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率の適用対象となります。

8.飲食店で提供する缶飲料、ペットボトル飲料の場合

軽減税率の適用対象とならない食事の提供とは、飲食設備がある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいます。
ラーメン屋等の飲食店で缶飲料、ペットボトル飲料をそのまま提供したとしても、店内で飲食させるものとして提供しているものであることから、食事の提供に該当し、軽減税率の適用対象外となります。

9.立食形式の飲食店の場合

軽減税率の適用対象とならない食事の提供とは、飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいます。また、テーブルのみ、椅子のみ、カウンターのみ又はこれら以外の設備であっても、又は飲食目的以外の施設等に設置されたテーブル等であってもこれらの設備が飲食料品の飲食に用いられるのであれば、飲食設備に該当します。 したがって、カウンターのみ設置した立食形式の飲食店で、飲食料品を飲食させる役務の提供は、食事の提供に該当し、軽減税率の適用対象外となります。

10.フードコートでの飲食の場合

食事の提供とは、飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいます。ここでいう飲食設備とは、飲食料品を提供する事業者が設置したものでなくても、設備設置者と飲食料品を提供している事業者との間の合意等に基づき、その設備を顧客に利用させることとしている場合は、これに該当します。
ショッピングセンターのフードコートが、設備設置者と飲食料品を提供している事業者との間の合意等に基づき、その設備を顧客に利用させることとされている場合には、飲食料品(ラーメン等)の提供は、飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供に該当しますので、軽減税率の適用対象外となる食事の提供になります。

11.公園のベンチでの飲食の場合

食事の提供とは、飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいます。ここでいう飲食設備とは、飲食料品を提供する事業者が設置したものでなくても、設備設置者と飲食料品を提供している事業者との間の合意等に基づき、その設備を顧客に利用させることとしている場合は、これに該当します。
移動販売車のそばの公園のベンチが、こうした合意等に基づき顧客に利用させることとしているものではなく、誰でもベンチを利用できる場合には、飲食設備に該当せず、飲食料品の提供は、食事の提供ではなく、飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率の適用対象となります。

12.旅客列車の食堂車での食事、移動ワゴン販売の飲食料品の販売

軽減税率の適用対象とならない食事の提供とは、飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいます。
(1)列車内の食堂施設において行われる飲食料品の提供は、これに該当し、軽減税率の適用対象外となります。
(2)他方、旅客列車の施設内に設置された売店や移動ワゴン等による弁当や飲み物等の販売は、例えば、その施設内の座席等で飲食させるために提供していると認められる次のような飲食料品の提供を除き、軽減税率の適用対象となる飲食料品の譲渡に該当します。① 座席等で飲食させるための飲食メニューを座席等に設置して、顧客の注文に応じてその座席等で行う食事の提供
② 座席等で飲食するため事前に予約を取って行う食事の提供
したがって、列車内の移動ワゴンによる弁当や飲料の販売は、①又は②に該当する場合を除き、軽減税率の適用対象となります。

13.カラオケボックスでの飲食料品の提供

軽減税率の適用対象とならない食事の提供とは、飲食設備がある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいます。
カラオケボックスの客室で顧客の注文に応じて行われる飲食料品の提供は、これに該当しますので、軽減税率の適用対象外となります。

14.映画館の売店での飲食料品の販売の場合

映画館内に設置された売店で行われる飲食料品の販売は、単に店頭で飲食料品を販売しているものですので、飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率の適用対象となります。
なお、売店のそばにテーブル、椅子等を設置して、その場で顧客に飲食させている場合には、飲食設備がある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供であり、食事の提供に該当しますので、持ち帰りによる販売(持ち帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う飲食料品の譲渡)である場合を除き、軽減税率の適用対象外となります。
(1)持ち帰りの販売かどうかは、顧客への意思確認等により行うこととなります。
(2)売店により、例えば、映画館の座席で次のような飲食料品の提供が行われる場合には、当該飲食料品の提供は、食事の提供に該当し、軽減税率の適用対象外となります。
① 座席等で飲食させるための飲食メニューを座席等に設置して、顧客の注文に応じてその座席等で行う食事の提供
② 座席等で飲食するため事前に予約を取って行う食事の提供

15.旅館、ホテル等宿泊施設における飲食料品の提供の場合

軽減税率の適用対象とならない食事の提供とは、飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいます。旅館、ホテル等(以下、ホテルといいます。)の宴会場や会議室・研修室等で行われる飲食料品の提供は、それがホテル自体又はホテルのテナントであるレストランが行うものである場合には、食事の提供に該当し、軽減税率の適用対象外となります。
また、ホテルの客室から、ホテルが直接運営する又はホテルのテナントであるレストランに対して飲食料品を注文し、そのレストランが客室に飲食料品を届けるようないわゆるルームサービスは、ホテルの客室内のテーブル、椅子等の飲食設備がある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供であり、食事の提供に該当し、軽減税率の適用対象外となります。

16.ホテル等の客室に備え付けられた冷蔵庫内の飲料等の場合

軽減税率の適用対象とならない食事の提供とは、飲食設備がある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供をいいます。
ホテル等の客室に備え付けられた冷蔵庫内の飲料(酒税法に規定する酒類を除きます。)を販売する場合は、単に飲食料品を販売するものであることから、飲食料品を飲食させる役務の提供に該当せず、飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率の適用対象となります。

17.バーベキュー施設での飲食等の場合

バーベキュー施設内で飲食する飲食料品について、そのバーベキュー施設を運営する事業者からしか提供を受けることができない場合には、施設利用料と食材代を区分していたとしても、その全額が飲食に用いられる設備において飲食料品を飲食させる役務の提供に係る対価と認められますので、その全額が食事の提供の対価に該当し、軽減税率の適用対象外となります。
なお、飲食料品を提供する事業者が、バーベキュー施設を運営する事業者自体ではなく、その運営事業者の契約等により、顧客にバーベキュー施設の飲食設備を利用させている事業者である場合についても同様に軽減税率の適用対象外となります。

2016.04.30

消費税の軽減税率の適用判定における飲食料品の販売形態

飲食料品の譲渡で消費税の軽減税率の対象となる食品の販売形態や輸入取引について国税庁消費税軽減税率制度対応室が解説している「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」(個別事例編)の「飲食料品の譲渡の範囲等」から軽減税率の適用対象となる飲食料品の譲渡に該当する取引か否かを整理してみると以下のようになります。なお、軽減税率が適用される取引か否かの判定時点と取引の目的について軽減税率が適用される取引か否かの判定は、事業者が課税資産の譲渡等を行う時、すなわち、飲食料品を提供する時点(取引を行う時点で)で行うこととなります。
したがって、飲食料品の譲渡の判定に当たっては、販売する事業者が、人の飲用又は食用に供されるものとして譲渡した場合には、顧客がそれ以外の目的で購入し、又はそれ以外の目的で使用したとしても、当該取引は飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率の適用対象となります。飲食料品を飲食させる役務の提供か、単に飲食料品を販売するものか以下の事例が参考になります。

1.通信販売における軽減税率の適用と経過措置について

消費税及び地方消費税の税率の引き上げに伴い、平成28年10月1日前にその販売価格の条件を提示し、又は提示する準備を完了した場合において、平成29年4月1日前に申込みを受け、提示した条件に従って平成29年4月1日以後に行われる商品の販売については、通信販売に係る経過措置が設けられていますが、飲食料品の譲渡には、この経過措置は適用されず、軽減税率が適用されます。なお、消費税と地方消費税を合わせた税率は8%ですが、平成29年3月31日までの税率は、消費税率6.3%、地方消費税率1.7%で合計8%、平成29年4月1日以後に適用される軽減税率は消費税率6.24%、地方消費税率1.76%で合計8%となります。

2.果物狩り、潮干狩り、釣り堀などの場合

果樹園での果物狩りの入園料は、顧客に果物を収穫させ、収穫した果物をその場で飲食させるといった役務の提供に該当しますので、飲食料品の譲渡に該当せず、軽減税率の適用対象とならないことになります。
なお、収穫した果物について別途対価を徴している場合のその果物の販売は、飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率の適用対象となります。また、潮干狩りや釣り堀等についても、同様の取扱いになります。

3.自動販売機による販売の場合

自動販売機により行われるジュース、パン、お菓子等の販売は、飲食料品を飲食させる役務の提供を行っているものではなく、単にこれらの飲食料品を販売するものであることから軽減税率の適用対象となる飲食料品の譲渡に該当することとされています。

4.通信販売による場合

インターネット等を利用した通信販売であっても、販売する商品が飲食料品に該当する場合には、飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率の適用対象となります。

5.レストランへの食材の販売

飲食料品の譲渡には、軽減税率が適用されます。
食品卸事業者から飲食料品を仕入れたレストランが、店内飲食用の料理にその食材を利用したとした場合、レストランが行う食事の提供は軽減税率の対象とならない、いわゆる外食となりますが、レストランへの食材の販売は、飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率の適用対象となります。

6.飲食料品の譲渡に要する送料の取扱い

飲食料品の譲渡に要する送料は、飲食料品の譲渡の対価ではありませんので、軽減税率の適用対象外となります。 なお、例えば、送料込み商品の販売など、別途送料を求めない場合、その商品が飲食料品に該当するのであれば、軽減税率の適用対象となります。

7.販売奨励金の取扱い

事業者が販売促進の目的で課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先(課税仕入れの相手方のほか、その課税資産の製造者、卸売業者等の取引関係者を含む。)から金銭により支払を受ける販売奨励金等は、仕入れに係る対価の返還等に該当します。
同様に事業者が支払う販売奨励金等は、売上げに係る対価の返還等に該当します。
売上げに係る対価の返還等又は仕入れに係る対価の返還等については、それぞれその対象となった課税資産の譲渡又は課税仕入れの事実に基づいて、適用される倍率を判断することとなります。したがって、その売上げの対価の返還等又は仕入れの対価の返還等の対象となった取引が飲食料品の譲渡であれば、軽減税率が適用されます。

8.輸入される飲食料品の場合

保税地域から引き取られる課税貨物のうち、飲食料品に該当するものについては、軽減税率が適用されます。なお、課税貨物が飲食料品に該当するかどうかは、輸入の際に、人の飲用又は食用に供されるものとして輸入されるかどうかにより判定されます。

9.輸入された飲食料品をその後販売する場合

例えば、保税地域からの引取りにより人の飲用又は食用に供されるまぐろを輸入する場合は、軽減税率の適用対象となります。また、輸入したまぐろを飼料用として販売した場合には、そのまぐろは人の飲用又は食用に供されるものとして譲渡されるものではないことから、軽減税率の適用対象外となります。
なお、課税貨物が、飲食料品に該当するかどうかは、輸入の際に、人の飲用又は食用に供されるものとして輸入されるかどうかにより判定します。

10.レストランへ販売する食材の輸入の場合

保税地域から引き取られる課税貨物のうち、飲食料品に該当するものについては、軽減税率が適用されます。
輸入されたその飲食料品を仕入れたレストランが、店内飲食用の料理にその食材を利用したとした場合には、そのレストランが行う食事の提供は軽減税率の対象とならない、いわゆる外食となります。輸入事業者が行う食材の輸入は、飲食料品の輸入(保税地域からの引取り)であり、また、輸入事業者からレストランへの食材の販売も飲食料品の譲渡となりますので、いずれも軽減税率の適用対象となります。

2016.04.29

消費税の適用税率の判定について一体資産・一体商品の譲渡の場合

一体資産・一体商品の譲渡の場合においては、軽減税率の適用要件の適否によって、適用税率の判定を行う必要があります。一体商品の全体が軽減税率の適用対象となる場合、一体商品の全体が軽減税率の対象とならない場合があります。
一体資産・一体商品の譲渡においても適用税率8%で仕入れて10%で販売することもあります。一体資産では、税抜の販売価格(譲渡対価)が1万円以下(金額要件)、かつ食品部分の原価等の割合が3分の2以上のものに軽減税率が適用される。たとえ同一商品であっても、消費者が割引券を使うなどすることで販売価格が変わり、取引によって金額要件の充足性が異なることもある。この商品を仕入れてそれを消費者に販売する取引で税率が異なることも生じ得ます。
例えば、スーパー等が一体資産を1個8,000円で仕入れ、1万2,000円で消費者に販売した場合、仕入れに係る取引では金額要件を満たすが、消費者に販売する取引では金額要件を満たさない。この場合、食品部分の原価等の割合が3分の2以上の要件を満たすものであれば、仕入れには8%が適用されるが、店頭で販売する際には10%が適用される。

1.商品1個の価格で金額要件・適用税率を判定

スーパー等の小売店がメーカー等から商品を仕入れる場合、いわゆるロット単位で行われることがある。商品1個を取引単位にするのではなく、例えば1ロット=商品10個として、最低取引単位を1ロットからと定めるといったものだ。
この場合、1ロットに係る販売価格が1万円を超えていても、そのうち1個1個の商品の価格が1万円以下になれば、金額要件を満たすという。
例えば、メーカー等が同一の一体資産を1ロット(商品10個)税抜5万円でスーパー等に販売する場合、商品1個当たりの販売価格は税抜5千円(5万円/10個)となるため、金額要件をクリアする。商品1個につき食品部分の原価等の割合が3分の2以上の要件も満たせば、この5万円の取引には税率8%が適用される。

2.菓子と玩具により構成されるいわゆる食玩

食品と食品以外の資産が一体として販売されるもの(あらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているものであって、その一の資産に係る価格のみが提示されているもの。)は、次のいずれの要件も満たす場合、その全体が軽減税率の適用対象となります。
① 一体資産の譲渡の対価の額(税抜価額)1万円以下であること
② 一体資産の価額のうちに当該一体資産に含まれる食品に係る部分の価額の占める割合として合理的な方法により計算した割合が3分の2以上であること
したがって、菓子と玩具により構成されている、いわゆる食玩は、商品が①及び②に該当する場合には、飲食料品に含まれることから、その販売は飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率の適用対象となります。

3.高価な容器に盛り付けられた洋菓子

飲食料品の販売に際し、使用される容器が、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるときは、その容器も含め、飲食料品の譲渡に該当します。
食品と食品以外の資産が一体として販売されるもの(あらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているものであって、その一の資産に係る価格のみが提示されているもの。)は、次のいずれの要件も満たす場合、その全体が軽減税率の適用対象となります。
① 一体資産の譲渡の対価の額(税抜価額)1万円以下であること
② 一体資産の価額のうちに当該一体資産に含まれる食品に係る部分の価額の占める割合として合理的な方法により計算した割合が3分の2以上であること
ケーキ等の洋菓子をカップ等の専用容器に盛り付けて販売している商品で、洋菓子より専用容器の方が高価である場合は、②に該当しないため、飲食料品に含まれません。
したがって、この場合の洋菓子と専用容器の販売は、商品全体が軽減税率の適用対象となりません。

4.食品と食品以外の資産で構成された福袋の販売

食品と食品以外の資産が一体として販売されるもの(あらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているものであって、その一の資産に係る価格のみが提示されているもの。)は、次のいずれの要件も満たす場合、その全体が軽減税率の適用対象となります。
① 一体資産の譲渡の対価の額(税抜価額)1万円以下であること
② 一体資産の価額のうちに当該一体資産に含まれる食品に係る部分の価額の占める割合として合理的な方法により計算した割合が3分の2以上であること
したがって、食品と食品以外の商品で構成された福袋が、①及び②に該当する場合には、飲食料品に含まれることから、その販売は飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率の適用対象となります。

5.一体資産に含まれる食品に係る部分の割合として合理的な方法により計算した割合

食品と食品以外の資産が一体として販売されるもの(あらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているものであって、その一の資産に係る価格のみが提示されているもの。)は、次のいずれの要件も満たす場合、その全体が軽減税率の適用対象となります。
イ 一体資産の譲渡の対価の額(税抜価額)1万円以下であること
ロ 一体資産の価額のうちに当該一体資産に含まれる食品に係る部分の価額の占める割合として合理的な方法により計算した割合が3分の2以上であること
ロの割合は、事業者の販売する商品や販売実態等に応じ、例えば、次の割合など、事業者が合理的に算出した割合であればこれによって差し支えないとされています。
① その一体資産の譲渡に係る売価のうち、合理的に計算した食品の売価の占める割合
② その一体資産の譲渡に係る原価のうち、合理的に計算した食品の原価の占める割合
例えば、仕入価格(税込み)が450円の紅茶と200円のティーカップをパッケージングしてセット商品として税抜き価格1,000円で販売する場合は、次のとおり②に示した計算方法によって計算し、その結果食品に係る部分の割合が3分の2以上であるものに該当します。
食品の原価  一体資産の
         譲渡の原価  一体資産の譲渡の原価のうち食品の占める割合
450円 /  650円   ≒ 69.2% > = 3分の2(66.666…%)
したがって、この商品は、食品と食品以外の資産をセット商品として1,000円という価格のみを提示して販売していることから、一体資産に該当し、その対価の額が1万円以下であり、かつ、食品に係る部分の価額の占める割合が3分の2以上のものとなりますので、その販売は、全体が軽減税率の適用対象となります。

6.食品と酒類のセット販売時の一括値引販売

一体資産とは、食品と食品以外の資産があらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているもの(一の資産に係る価格のみが提示されているものに限ります。)をいいます。
例えば、ビールと惣菜をそれぞれ別々の商品として販売している場合に、これらの商品を組み合わせて、一括で値引きを行って販売するときは、あらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているものではないことから、一体資産に該当しません。
なお、一括して値引きを行った場合のそれぞれの値引き後の対価の額は、それぞれの資産の値引き前の対価の額等により按分するなど合理的に算出することとなります。
また、惣菜(食品)の販売は、飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率の適用対象となりますが、酒税法に規定する酒類であるビールの販売は、軽減税率の適用対象となりません。 (参考) 例えば、顧客が割引券等を利用したことにより、これら同時に行った資産の譲渡等を対象として一括して対価の額の値引きが行われており、その資産の譲渡等に係る適用税率ごとの値引額又は値引額控除後の対価の額が明らかでないときは、割引券等による値引額をその資産の譲渡等係る価額の比率により按分し、適用税率ごとの値引額及び値引額控除後の対価の額を区分することとされています。
当該資産の譲渡等に際して顧客へ交付する領収書等の書類により適用税率ごとの値引額又は値引額控除後の対価の額が確認できるときは、当該資産の譲渡等に係る値引額又は値引額控除後の対価の額が、適用税率ごとに合理的に区分されているものに該当することとされています。

7.合理的な割合が不明な小売事業者等の場合

例えば、小売業を営んで食玩を販売し、その食玩に含まれる食品に係る部分の価額に占める割合が不明である場合には、仕入れの際に仕入先が適用した税率を適用して販売することも認められることがあります。
小売業や卸売業等を営む事業者が、一体資産に該当する商品を仕入れて販売する場合において、販売する対価の額(税抜)が1万円以下であれば、その課税仕入れのときに仕入先が適用した税率をそのまま適用して差し支えないとされています。

2016.04.28

消費税の軽減税率を適用する一体資産・一体商品の譲渡

飲食料品の譲渡に含まれる一体資産・一体商品の譲渡の消費税の軽減税率の適用なども明らかになり、消費税の税率が10%に引き上げられる平成29年4月1日から消費税の軽減税率の導入されます。飲食料品には、食品と食品以外の資産があらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているもの(その一の資産に係る価格のみが提示されているものに限ります。以下、一体資産といいます。)のうち、一定の要件を満たすものも含みます。一体資産については、下記1の一体資産の意義をご参照ください。

1.軽減税率の適用対象となる一体資産の意義

一体資産とは、食品と食品以外の資産があらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているもので、一体資産としての価格のみが提示されているものをいいます。一体資産の譲渡は、原則として軽減税率の適用対象ではありませんが、次のいずれの要件も満たす場合は、飲食料品として、その譲渡全体につき軽減税率が適用されます。
① 一体資産の譲渡の対価の額(税抜価額)が1万円以下であること
② 一体資産の価額のうちに当該一体資産に含まれる食品に係る部分の価額の占める割合として合理的な方法により計算した割合が3分の2以上であること
なお、ここでいう合理的な方法とは、例えば、(1)一体資産の譲渡に係る売価のうち、食品の売価の占める割合や、(2)一体資産の譲渡に係る原価のうち、食品の原価の占める割合による方法があります。

2.一の資産の価格のみが提示されているもの

一体資産とは、食品と食品以外の資産があらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているもので、一体資産としての価格のみが提示されているものをいいます。したがって、例えば、次のような場合は、食品と食品以外の資産が一の資産を形成し、又は構成しているものであっても、一体資産に該当しないこととされています。
① 食品と食品以外の資産を組み合わせた一の詰め合わせ商品について、当該詰め合わせ商品の価格とともに、これを構成する個々の商品の価格を内訳として提示している場合
例えば、1,000円(内訳 A商品400円、B商品300円、C商品300円)の様に提示している場合をいいます。
② 個々の商品の価格を提示しているか否かにかかわらず、商品(食品を食品以外)を、例えば、よりどり3品△△円との価格を提示し、顧客が自由に組み合わせることができるようにして販売している場合
例えば、このワゴンボックス内の商品は、よりどり3品1,000円の様な場合をいいます。
(注)1 上記①、②の場合は、個々の商品ごとに適用税率を判定することとなります。
(注)2 上記②の場合に個々の商品に係る対価の額が明らかでないときは、商品の価額を適用税率ごとに合理的に区分することとなります。

3.包装材料及び容器の取扱い

飲食料品の販売に際し使用される包装材料及び容器(以下、包装材料等といいます。)が、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるときは、当該包装材料等も含め軽減税率の適用対象となる飲食料品の譲渡に該当します。
ここでいう通常必要なものとして使用される包装材料等とは、飲食料品の販売に付帯するものであり、通常、飲食料品が消費され又はその飲食料品と分離された場合に不要となるようなものが該当します。
なお、贈答用の包装など、包装材料等につき別途対価を定めている場合のその包装材料等の譲渡は、飲食料品の譲渡には該当しません。
また、例えば、陶磁器やガラス食器等の容器のように飲食の用に供された後において食器や装飾品として利用できるものを包装材料等として使用しており、食品とその容器を組み合わせてあらかじめ一の商品として価格を提示し販売している場合には、その商品は一体資産に該当します。容器や包装材料等の取扱いについては、下記4(1)飲食料品を販売する際に使用される容器、(2)桐の箱の容器を参考にして下さい。

4.一体資産・包装材料・容器の取扱いの個別事例

一体資産の判断や包装資材及び容器の取扱いについて、国税庁消費税軽減税理制度対応室による消費税の軽減税率制度に関するQ&Aに個別事例が以下のように掲載されています。

(1)飲食料品を販売する際に使用される容器

包装材料等が、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるときは、当該包装材料等も含め軽減税率の適用対象となる飲食料品の譲渡に該当します。
ここでの通常必要なものとして使用される包装材料等とは、その飲食料品の販売に付帯するものであり、通常、飲食料品が費消され又はその飲食料品と分離された場合に不要となるようなものが該当します。
なお、贈答用の包装など、包装材料等につき別途対価を定めている場合のその包装材料等の譲渡は、飲食料品の譲渡には該当しません。
また、例えば、陶磁器やガラス食器等の容器のように飲食の用に供された後において食器や装飾品として利用できるものを包装材料等として使用しており、食品とその容器をあらかじめ組み合わせて一の商品として価格を提示し販売しているものについては、その商品は一体資産に該当します。

(2)桐の箱等の高価な容器に入れて販売

飲食料品の販売に際し使用される包装材料及び容器が、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるときは、その包装材料等も含め飲食料品の譲渡に該当します。
例えば、高額な飲食料品にあっては、桐の箱等の高価な容器に入れられて販売されることがありますが、このような場合にあっては、桐の箱にその商品の名称などを直接印刷等して、その飲食料品を販売するためにのみ使用していることが明らかなときは、その飲食料品の販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものに該当するものとして取り扱って差し支えありません。

(3)保冷剤を付けた洋菓子の販売

人の飲用又は食用に供されるケーキやプリンなどの洋菓子は、食品に該当し、サービスで保冷剤をつけて販売する場合であっても、軽減税率の適用対象となります。
なお、保冷剤について別途対価を徴している場合のその保冷剤は、飲食料品に該当しないことから、軽減税率の適用対象となりません。

5.一体資産の金額要件と金額判定の単位について

軽減税率の適用対象となる一体資産の金額要件は取引ごとに判定し、ロット単位の仕入れも1個が1万円以下なら要件を充足するようです。
食品とそれ以外の資産で構成される一体資産について。軽減税率の対象となる販売価格が1万円以下の金額要件は、その取引ごとに充足性を判定することになります。
メーカー等から商品を仕入れる際には、最低取引単位が決められているいわゆるロット単位での取引が行われることも少なくありません。この点については、ロット単位での取引であっても、1万円以下の金額要件を充足するか否かは、あくまで商品1個の価格で判定するようです。

2016.04.27

消費税の軽減税率と添加物、酒類、医薬品等の譲渡について

消費税の軽減税率の対象となる飲食料品には、食品表示法に規定する食品から酒税法に規定する酒類は除かれています。食品表示法に規定する食品とは全ての飲食物を言いますが医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品は除かれ、食品衛生法に規定する添加物を含みます。ここでいう飲食物とは、人の飲料又は食用に供されるものをいいます。飲食料品の譲渡の範囲等を整理すると更なるキーワードは「酒税法に規定する酒類」「食品衛生法に規定する添加物」です。

1.酒税法に規定する酒類の定義及び種類

酒税法第2条第1項に、酒類の定義及び種類を規定しています。
酒税法において酒類とは、アルコール分一度以上の飲料(薄めてアルコール分一度以上の飲料とすることができるもの(アルコール分が九十度以上のアルコールのうち、酒税法第七条第一項の規定による酒類の製造免許を受けた者が酒類の原料として当該製造免許を受けた製造場において製造するもの以外のものを除く。)又は溶解してアルコール分一度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む。)をいうとされています。

2.食品衛生法に規定する添加物

食品衛生法第4条第2項に、添加物の定義を規定しています。
食品衛生法において添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいうとされています。

3.軽減税率の適用対象となるか否かの判断事例

「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」(個別事例編)の「飲食料品の譲渡の範囲等」より、消費税の軽減税率の対象となる飲食料品には、食品表示法に規定する食品から酒税法に規定する酒類は除かれています。食品表示法に規定する食品とは全ての飲食物を言いますが医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品は除かれ、食品衛生法に規定する添加物を含みます。ここでいう飲食物とは、人の飲料又は食用に供されるものをいいます。

(1)お酒の販売と消費税の軽減税率

酒税法に規定する酒類は、軽減税率の適用対象である飲食料品から除かれていますので、酒類の販売は軽減税率の適用対象となりません。

(2)食品の原材料となる酒類の販売と軽減税率

食品の原材料となるワインなどであっても、軽減税率の適用対象である飲食料品に該当せず、その販売は軽減税率の適用対象となりません。

(3)みりん、料理酒、調味料の販売

酒税法に規定する酒類は軽減税率の適用対象である飲食料品に該当しませんので、みりんや料理酒が酒税法に規定する酒類に該当するものであれば、その販売は軽減税率の適用対象となりません。
酒税法に規定する酒類に該当しないみりん風調味料(アルコール分が一度未満のものに限ります。)については、飲食料品に該当しますので、その販売は軽減税率の適用対象となります。

(4)ノンアルコールビール、甘酒の販売

ノンアルコールビールや甘酒など酒税法に規定する酒類に該当しない飲料については、軽減税率の適用対象である飲食料品に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。

(5)酒類を原料とした菓子の販売

酒類を原料とした菓子であっても、その菓子が酒税法に規定する酒類に該当しないものについては、軽減税率の適用対象である飲食料品に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。

(6)酒類の原料となる食品の販売

食品とは、人の飲料又は食用に供されるものをいいます。酒税法に規定する酒類は、ここでいう食品から除かれています。
他方、日本酒を製造するための原材料の米は、酒類ではないので、食品から除かれず、人の飲用又は食用に供されるものであることから、その販売は軽減税率の適用対象となります。

(7)添加物の販売

食品の製造・加工等の過程において添加されるものは、食品に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。

(8)添加物として金箔の販売

添加物として販売される金箔は、食品に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。

(9)食用、清掃用の重曹の販売

人の飲用又は食用に供されるものである食品添加物として販売される重曹は、食品に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。

(10)栄養ドリンクの販売

医薬品等に該当しない栄養ドリンクは、食品に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。
医薬品等は、食品に該当しません。したがって、医薬品等に該当する栄養ドリンクの販売は軽減税率の適用対象となりません。

(11)健康食品、美容食品等の販売

人の飲用又は食用に供される特定保健用食品、栄養機能食品は、医薬品等に該当しませんので、食品に該当し、また、人の飲用又は食用に供されるいわゆる健康食品、美容食品も、医薬品等に該当しないものであれば、食品に該当しますので、それら販売は軽減税率の適用対象となります。

2016.04.26

消費税の軽減税率の対象となる飲食料品の譲渡について

飲食料品の譲渡で消費税の軽減税率の対象となる品目を食品と定義しています。その食品とは、人の飲料又は食用に供されるものをいいます。消費税の軽減税率は、平成29年4月1日の消費税率の引き上げと同時に導入されます。消費税の軽減税率の対象品目は酒類・外食を除く飲食料品及び週2回以上発行される新聞の定期購読料となります。国税庁消費税軽減税率制度対応室が解説している「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」(個別事例編)の「飲食料品の譲渡の範囲等」を整理するとキーワードは「食品とは、人の飲料又は食用に供されるものをいいます。」です。

1.軽減税率の対象品目である飲食料品の譲渡

(1)軽減税率の対象品目である飲食料品の定義
軽減税率の対象品目である飲食料品とは、酒税法に規定する酒類を除き食品表示法に規定する食品(以下、食品といいます。)をいいます。
(2)食品表示法に規定する食品
食品表示法に規定する食品とは、全ての飲食物をいい、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に規定する医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品を除き、食品衛生法に規定する添加物を含むものとされています。
(3) ここでいう飲食物とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいます。
(4) また、飲食料品には、食品と食品以外の資産があらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているもの(その一の資産に係る価格のみが提示されているものに限ります。以下、一体資産といいます。)のうち、一定の要件を満たすものも含みます。
(5) したがって、飲食料品とは、人の飲用又は食用に供される、医薬品、医薬部外品、再生医療等製品、酒税法に規定する酒類を除き、次の①から④をいいます。
① 米殻や野菜、果実などの農産物、食肉や生乳、食用鳥卵などの畜産物、魚類や貝類、海藻類などの水産物
② めん類・パン類、菓子類、調味料、飲料等、その他製造又は加工された食品
③ 食品衛生法に規定する添加物
④ 一体資産のうち、一定の要件を満たすもの
(6)軽減税率が適用される取引か否かの判定時点と目的
軽減税率が適用される取引か否かの判定は、事業者が課税資産の譲渡等を行う時、すなわち、飲食料品を提供する時点(取引を行う時点で)で行うこととなります。
したがって、飲食料品の譲渡の判定に当たっては、販売する事業者が、人の飲用又は食用に供されるものとして譲渡した場合には、顧客がそれ以外の目的で購入し、又はそれ以外の目的で使用したとしても、当該取引は飲食料品の譲渡に該当し、軽減税率の適用対象となります。
(7)人の飲用又は食用以外の用途に供するものとして取引される場合
平成28年4月12日に制定された消費税の軽減税率制度に関する法令解釈通達によれば、人の飲用又は食用以外の用途に供するものとして取引される次に掲げるようなものは、飲食が可能なものであっても食品に該当しないことに留意するとしています。
① 工業用原材料として取引される塩
② 観賞用・栽培用として取引される植物及びその種子
(8)そして、人の飲用又は食用に供されるものとして譲渡した食品が、購入者により他の用途に供されたとしても、当該食品の譲渡は、改正法附則第34条第1項第1号に掲げる飲食料品の譲渡に該当すると注記されています。

2.その食品が軽減税率の適用対象となるか否かの判断事例

「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」(個別事例編)の「飲食料品の譲渡の範囲等」より、 軽減税率の対象となる食品とは、人の飲料又は食用に供されるものをいいます。

(1)生きた畜産物の販売

肉用牛、食用豚等の生きた家畜は、その販売時点において、人の飲用又は食用に供されるものではないため、食品に該当せず、その販売は軽減税率の適用対象となりません。
これらの家畜の枝肉は、人の飲用又は食用に供されるものであり、その販売は軽減税率の適用対象となります。

(2)食用の生きた魚など水産物の販売

人の飲用又は食用に供される活魚は食品に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。
生きた魚であっても人の飲用又は食用に供されるものではない熱帯魚などの観賞用の魚は、食品に該当せず、その販売は軽減税率の適用対象となりません。

(3)家畜の飼料、ペットフードの販売

人の飲用又は食用に供されるものではない牛や豚等の家畜の飼料やペットフードは、食品に該当せず、その販売は軽減税率の適用対象となりません。

(4)籾の販売

人の飲用又は食用に供される籾は、食品に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。
人の飲用又は食用に供されるものではない種籾として販売される籾は、食品に該当せず、その販売は軽減税率の適用対象となりません。

(5)苗木、種子の販売

種子であっても、おやつや製菓の材料用など、人の飲用又は食用に供されるものとして販売されるかぼちゃの種などは、食品に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。
果物の苗木など栽培用として販売される植物及びその種子は、食品に該当せず、その販売は軽減税率の適用対象となりません。

(6)水の販売

人の飲用又は食用に供されるものであるいわゆるミネラルウォーターなどの飲料水は、食品に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。
他方、水道水は、炊事や飲用のための食品としての水と、風呂、洗濯といった飲食用以外の生活用水として供給されるものとが混然一体となって提供されており、例えば、水道水をペットボトルに入れて、人の飲用に供される食品として販売する場合を除き、軽減税率の適用対象となりません。

(7)氷の販売

人の飲用又は食用に供されるものであるかき氷に用いられる氷や飲料に入れて使用される氷などの食用氷は、食品に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。
なお、例えば、ドライアイスや保冷用の氷は、人の飲用又は食用に供されるものではなく、食品に該当しないことから、その販売は軽減税率の適用対象となりません。

(8)賞味期限切れの食品の廃棄

賞味期限切れの食品を廃棄するために譲渡する場合は、人の飲用又は食用に供されるものとして譲渡されるものではないことから、軽減税率の適用対象となりません。

2016.04.25

消費税の税額計算の特例 (経過措置)

軽減税率が導入される平成29年4月から4年間は、簡素な区分経理の方法として「区分記載請求書等保存方式」が導入されます。この経理方式の段階では、売上げ及び仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者等に配慮して、売上げ及び仕入れの一定割合を軽減税率の対象品目のものとして税額を計算することができる特例が経過措置として設けられます。

1.消費税の売上税額の計算の特例(附則38~43)

現金商売の町の八百屋さんや魚屋さん、地方の商店などを想定して売上げを税率ごとに区分することが困難な事業者が、売上げの一定割合(軽減税率売上割合)を、軽減税率対象品目の売上げとして税額を計算する特例を適用することができます。
この特例の対象者は3つの区分に分かれており、それぞれの区分の軽減税率売上割合は以下のようになります。
① 仕入を管理できる卸売・小売事業者の場合は、
→ 仕入総額に占める軽減税率対象品目に係る仕入金額の割合
② ①以外の事業者の場合は、
→ 通常の連続する10営業日の売上総額に占める軽減税率対象品目の売上金額の割合
③ ①及び②の計算が困難な事業者の場合は、
→ 50%
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売上税額の計算の特例(出所)政府税制調査会資料
①の仕入れを管理できる卸売・小売事業者とは、簡易課税の適用を受けない事業者が対象です。仕入れた商品をそのまま販売する卸売・小売事業者は、売上げに占める軽減税率対象品目の売上げの割合と、仕入れに占める軽減税率対象品目の仕入れの割合は概ね一致することから、仕入れの管理ができていれば、「軽減税率対象品目の仕入額/仕入総額」の算式により売上税額を計算することが認められます。
②及び③の仕入れの区分ができない事業者等とは、1次生産者である農林水産業者、食品加工業者、簡易課税の適用を受ける卸売・小売事業者などです。これらの事業者等は、「通常の連続する10営業日の軽減税率対象品目の売上額/通常の連続する10営業日の売上総額」により計算することが認められます。つまり、通常の連続した10日間の売上げの管理ができてさえいれば簡素な方法で売上税額が計算できることとなります。
一方、仕入の管理も10日間の売上げの管理もできない③の主に軽減税率対象品目を販売する事業者は、最低の水準で益税目的の活用を防止するため、軽減税率売上割合は売上げの「50/100」とする規定が設けられています。かなり荒っぽい方法なので益税問題が再発して、消費税額のあり方についての信頼を失わないかと心配する声もあります。
基準期間における課税売上高が5千万円以下の中小事業者は、軽減税率が導入される平成29年4月から4年間、この売上税額の計算特例を選択することができます。中小事業者以外も、平成29年4月から平成30年3月の属する課税期間の末日までの期間に限り、同様の特例を選択することが可能です。

2.消費税の仕入税額の計算の特例

売上税額の計算の特例と同様に、現金商売のお店や地方の商店など仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者が、仕入れの一定割合(軽減税率仕入割合)を、軽減税率対象品目の仕入れとして税額を計算することができます。
この特例の対象者は2つの区分に分かれており、それぞれの区分の特例等は以下のようになります。軽減税率が導入される平成29年4月から平成30年3月の属する課税期間の末日までの期間、以下の特例を選択することができます。
① 売上げを管理できる卸売・小売事業者の場合は、
→ 売上総額に占める軽減税率対象品目に係る売上金額の割合
② ①の計算が困難な事業者の場合は、
→ 事後選択により簡易課税制度の適用が可能
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仕入税額の計算の特例(出所)政府税制調査会資料
①の売上げを管理できる卸売・小売事業者とは、簡易課税の適用を受けない事業者が対象です。仕入れた商品をそのまま販売する卸売・小売事業者は、売上げに占める軽減税率対象品目の売上げの割合と、仕入れに占める軽減税率対象品目の仕入れの割合は概ね一致することから、売上げの管理ができていれば、「軽減税率対象品目の売上額/売上総額」の算式により仕入税額を計算することが認められます。
②の売上げや仕入れの管理ができず①の方法で仕入税額の計算ができない事業者については、基準期間における課税売上高が5千万円以下の中小事業者は、現行では課税期間の開始前に選択しなければならない簡易課税制度の適用が事後選択により受けられるようになりますので、同制度に準じた方法により仕入税額を計算することができます。中小事業者以外も同様の特例が受けられます。

3.消費税の税額計算の特例の課題

消費税の軽減税率制度導入に反対していた日本税理士会連合会ですが、複数税率が成立した以上は、納税者に過度な事務負担が及ばないように運動するとしています。現行の請求書等保存方式から適格請求書等保存方式の導入の過程で平成29年4月から区分記載請求書等保存方式が導入されます。区分記載請求書等保存方式の段階では消費税の税額計算の特例が設けられましたが、次のような問題点が指摘されています。
(1)軽減税率売上割合の特例の課題
もともと日本の消費税は、免税店の低さ、簡易課税制度、ゼロ税率の不存在、課税対象の不合理、平成33年から導入されるもののインボイスが不存在であったことからみて本来の付加価値税とはいえないという批判を受けています。更に、売上税額の計算の特例では益税の問題が指摘されています。
(2)軽減税率仕入割合の特例の課題
仕入税額の計算の特例においては、事業者を2つに区分するも何れも特例という枠を超え、益税が多額に生じて付加価値税の計算と認められものではないと指摘されています。

2016.04.24

消費税のインボイス制度と区分経理によらない方法

平成33年4月より「いわゆるインボイス制度として適格請求書等保存方式」が標準税率と軽減税率の複数税率制度の下で適正な課税を確保する観点から導入されます。
ただし、平成29年4月から4年間は、簡素な方法として「区分記載請求書等保存方式」がすぐには新たな税額の計算方法に移行できなかったり、適正な請求書を発行することができない、納税事務である区分経理に困難を伴う中小事業者の準備等のため導入されます。

1.区分記載請求書等保存方式(簡易な方法 経過措置)

平成29年4月から平成33年3月まで導入される区分記載請求書等保存方式は、現行の請求書等保存方式を維持しつつ区分経理に対応するものです。
(1) 現行制度の「請求書等保存方式」では、売り手が発行する請求書等に、①請求書発行者の氏名又は名称、②取引年月日、③取引の内容、④対価の額、⑤請求書受領者の氏名又は名称、を記載する必要があります。
(2) 区分記載請求書等保存方式では、この記載事項に①軽減税率の対象品目である旨、②税率ごとに区分して合計した対価の額(税込み)、が追加されます。ただし、現行制度と同様、売り手側には区分記載請求書の交付義務及び写しの保存義務はなく、不正交付に対する罰則もありません。
なお、ここでいう「請求書等」には、一定の記載事項を満たす領収書や納品書、小売事業者等が交付するレシートなど取引の事実を証する書類も含まれます。
(3) 一方、買い手側では、区分記載請求書の保存が仕入税額控除の要件となります。免税事業者も区分記載請求書を交付することができますので、免税事業者からの仕入れも仕入税額控除が可能です。請求書等への追加記載事項である①軽減税率の対象品目である旨、②税率ごとに区分して合計した対価の額(税込み)の記載がない場合には、買い手が事実に基づき追記することで仕入税額控除の要件を満たすこととなります。
(4) また、支払対価が3万円未満の場合や自動販売機から購入する場合、入場券など証拠書類が回収される場合、中古品販売業者が消費者から仕入れる場合など、請求書の交付を受けることが困難な場合には、現行と同様に請求書等の保存は不要で、帳簿への記載により仕入税額控除ができます。せり売りや無条件委託販売・共同計算方式による媒介・取次業者が作成した請求書等の保存により仕入税額控除が可能となります。
(5)区分記載請求書等保存方式の納付税額の計算方法
区分記載請求書等保存方式の場合の納付税額の計算方法は、軽減税率と標準税率の適用税率ごとの取引総額に110分の10、108分の8を乗じて売上げ又は仕入れに係る消費税額を計算する、現行の「割り戻し計算」が維持されます。
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区分記載請求書等保存方式(出所)政府税制調査会資料

2.適格請求書等保存方式(インボイス制度)

平成33年4月以降導入される「いわゆるインボイス制度の適格請求書等保存方式」では、税額計算をこの適格請求書の記載どおりに行う仕組みとなります。
(1) そのため、売り手が交付する請求書等の記載事項は、区分記載請求書等保存方式での事項に、①登録番号、②税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率、③税率ごとに区分して合計した消費税額等(消費税及び地方消費税の合計額)、の3項目が追加されます(消法57の4)。
(2) 新たな記載事項のうち上記(1)①の登録番号は、課税事業者のみが適格請求書を発行できる「適格請求書発行事業者登録制度」が創設されますので、適格請求書を交付しようとする課税事業者は、納税地を所轄する税務署長に申請書を提出して登録を受ける必要があります。登録を受けた課税事業者のみが適格請求書を交付することができます。登録は平成31年4月1日から申請を受け付けます(消法9、57の2)。
(3) そして、平成33年4月1日より、適格請求書発行事業者の登録を受けた課税事業者(売り手)は、取引の相手方から求められた場合の適格請求書の交付及び写しの保存が義務付けられることとなります。ただし、不特定多数の者に対して販売を行う小売業、飲食業、タクシー業等については、適用税率もしくは適用税率ごとの消費税額等のどちらかの記載でよく、販売先の事業者の氏名等を省略できるなど、適格請求書の記載事項を簡易なものとする「適格簡易請求書」を交付することが認められます。
なお、偽りの適格請求書を発行した場合には罰則が適用されます(消法65)。
(4) 一方、買い手側は、適格請求書の保存が仕入税額控除の要件となります。ただし、区分記載請求書等保存方式では免税事業者からの仕入れも仕入税額控除が可能ですが、適格請求書等保存方式が導入されると、免税事業者は適格請求者を交付できないため免税事業者からの仕入れは仕入税額控除をすることはできません。
(5) 免税事業者からの仕入れについての経過措置
そこで経過措置として、免税事業者からの仕入れについて、平成33年4月から36年3月までは仕入税額相当額の80%、平成36年4月から39年3月までは同50%の控除が認められます(附則52、53)。
(6) 自動販売機からの購入や中古品販売業者の消費者からの仕入れなど適格請求書の交付を受けることが困難な場合には、適格請求書の保存は不要で帳簿への記載により仕入税額控除が可能です。なお、支払対価が3万円未満の課税仕入れについては、請求書等の保存を不要とする規定が廃止されますので適格請求書の保存が必要となります。
せり売り等による媒介・取次により販売される場合は、現行の取扱を存続し、媒介・取次業者が作成した請求書等の保存により仕入税額控除ができます。
(7) 適格請求書等保存方式の納付税額の計算方法
適格請求書等保存方式による場合の売上げ及び仕入れに係る税額計算は、消費税額を積み上げて計算する「積上げ計算」と、税込み価格を税率で割り戻して計算する現行の「割戻し計算」との選択制となります。 「積上げ計算」は発行した適格請求書に記載した税額を全て集計する方法、「割戻し計算」は適用税率ごとの取引総額に110分の10、108分の8を乗じて計算する方法です。どちらかの計算方法を選択できますが、売上税額を「積上げ計算」により計算する場合には、端数処理による益税を防止する観点から、仕入税額も「積上げ計算」により計算する事になります。
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適格請求書等保存方式(出所)政府税制調査会資料

3.帳簿・請求書等の記載事項にみるインボイスと仕入税額控除

軽減税率を平成29年4月から導入し、事業者を3区分して経理方式を区分したうえで、請求書等については区分記載請求書等保存方式から適格請求書等(インボイス)保存方式へと移行されていきます。インボイスについては、簡易インボイスを導入している国もありますが、帳簿・請求書等方式が採られてきました。帳簿への記載事項も請求書等への記載事項も、何れも記載事項の要件を満たしている必要があります。記載事項の一部が省略されている場合には、仕入税額控除が否認されることがありますので注意が必要です。

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