2016.09.10

所得税の配偶者控除を見直して夫婦控除に移行案が浮上

所得税の配偶者控除の見直しなど、首相の諮問機関である政府税制調査会が昨日9日に約4カ月ぶりに開催されました。
なお、夫婦控除の導入案の前に現行の配偶者控除の要件など配偶者特別控除の要件などについては、それぞれのページで確認して下さい。

1.配偶者控除の見直しと夫婦控除の導入案浮上

専業主婦世帯などの所得税額を軽減している所得税の「配偶者控除」を見直す検討に本格的に着手しています。配偶者の働き方や年収を問わない「夫婦控除」の導入が有力な見直し案となっています。配偶者控除の見直しにより、税収は大幅に減少する可能性があるため、政府は課題となる財源確保の検討も本格化することになります。課題となる税収減の抑制策として夫婦控除などの所得制限が浮上していますが、負担増となる世帯の理解が得られるかが課題となります。

2.現行の配偶者控除と見直しの方向性と論点の整理

現行の配偶者控除は、例えば配偶者の給与収入が年103万円以下の場合に適用されます。給与所得者の年末調整に向けてパートで働く主婦らがその配偶者控除に合わせて労働時間を抑えるといういわゆる年末時間調整「103万円の壁」をなくす狙いも込めて、首相が2014年に見直しの検討を指示していました。そこで政府税調では、これまでの論点整理で夫婦控除や高所得者に限って配偶者控除を廃止する案などを示していました。
増加する共働き世帯に配慮し、夫婦控除へ転換する案を軸に、11月ごろには見解を取りまとめる方向のようです。総会に出席した安倍晋三首相は「女性が就業調整を意識せずに働けるようにする」と述べ、検討を進める考えを表明したと報じられています。
政権の掲げる「働き方改革」と連動させて女性の就労を後押しする狙いですが、専業主婦世帯の負担が増す可能性もあり、具体的な改革案を固められるかは流動的です。

3.基礎控除の扱いも焦点に所得控除方式の見直し議論へ

与党も議論を進める予定で、自民党の宮沢洋一税制調査会長は2017年度の税制改正での実現に意欲を示しているそうです。
所得税を巡り政府税調は他の所得控除を含め、高所得者ほど有利な「所得控除」方式の見直しを議論する模様です。
全ての人の所得税に適用される基礎控除の扱いも焦点となります。高所得者ほど減税の効果が大きいため、所得控除を段階的に縮小したり、減税額を一定にする「税額控除」に変更したりすれば財源を賄えるとしています。

4.夫婦控除を2017年度税制改正大綱に盛り込み関連法の改正へ

自民党の茂木俊充政調会長は「専業主婦世帯などの所得税額を軽減する配偶者控除の見直し議論を巡り、配偶者の働き方や年収を問わない夫婦控除に移行すべきだ」との考えを示しています。さらに「夫婦控除」に移行する場合の控除方式に関しては、所得税額を算出する前に課税対象の所得を小さくする「所得控除」ではなく、所得税額の算出後に差し引く「税額控除」方式を検討すべき認識も表明しています。
高所得者ほど有利な「所得控除」方式の見直しにより、低所得者により税負担の少ない制度を目指して2017年度税制改正大綱に「夫婦控除に移行」を盛り込み、来年の通常国会で関連法の改正を目指す意向です。

2016.08.09

どうなる消費税の税率引上げ適用時期の変更に伴う税制上の改正措置

政府与党は、消費税の税率引上げ時期の変更に伴う税制上の改正措置を正式決定しました。住宅ローン減税、住宅取得等資金の贈与税の非課税措置など所得税・贈与税への影響も気になります。これは税制改正大綱に相当するもので、例年の与党税制改正大綱と同様で「基本的考え方」と「具体的内容」の二部構成となっています。消費税率10%への引上げ及び軽減税率制度の導入を平成31年10月に2年半延期するとともに、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入を平成35年10月に延期することが柱となっています。ほとんどの措置は、税率引上げ延期に伴う適用時期の変更ですが、「税額計算の特例」については、内容を変更し、大規模事業者の適用を認めないこととしました。
この他関連措置として「転嫁対策」「総額表示義務の特例」及び「住宅ローン減税の拡充措置」の適用期限延長、「住宅取得等資金贈与の特例」の非課税枠を上乗せする期間の延期なども行われます。これを踏まえ、政府は秋の臨時国会に関連法案を提出するようです。

1.消費税の税額計算の特例は中小事業者に限定

ほとんどが消費税の税率引上げ延期に伴う適用時期の変更ですが、消費税の税額計算の特例については、内容を変更している点にも注目しましょう。

(1)消費税率10%への引上げ時期の変更

消費税率10%への引上げの「施行日」を平成31年10月1日に、請負工事等に係る適用税率の経過措置の「指定日」を31年4月1日としました。

(2)軽減税率制度の導入時期の変更

消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置として、「軽減税率制度」の導入時期を31年10月1日に延期することとしています。

(3)消費税の税額計算の特例の適用についての変更

これを踏まえて軽減税率制度の導入後の一定の間は、区分経理が困難な事業者を対象に適用を認めることとしていた「税額計算の特例」の適用時期も2年半延期されます。
さらに特例の適用は中小事業者に限定されます。システム整備が間に合わない場合を想定して、1年間に限り、大規模事業者も特例の適用を可能としていましたが、「軽減税率制度」の導入時期の延期を踏まえ、適用を認めないことと変更されます。

2.適格請求書発行事業者の登録時期の延期

いわゆるインボイス制度の導入時期が平成33年4月1日から延期されるか否かに注目が集まっていましたが、平成35年10月1日まで2年半延期することとしました。これに伴い、適格請求書発行事業者の「登録」についても申請受付開始を平成33年10月1日に延期されます。
また、インボイス制度の導入後も6年間は、免税事業者からの仕入税額控除を一定割合認めることとしていましたが、この経過措置の実施時期も変更されます。平成35年10月1日から平成38年9月30日までは仕入税額相当額の80%、平成38年10月1日から平成41年9月30日までは同50%の控除ができることとしました。

3.総額表示義務の特例の延長

消費税転嫁対策特別措置法の適用期限(平成30年9月30日)を平成33年3月31日まで2年半延長することとしました。
同法では、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」を講じていれば税込価格を表示することを要しない「総額表示義務の特例」が認められています。

4.どうなる住宅ローン減税、住宅取得等資金の贈与税の非課税措置

税率引上げ時期の延期(増税延期)を踏まえて、反動減対策も以下のように延期されます。

(1)住宅ローン減税等の適用期限の延長

住宅ローン減税(10年間合計で最大500万円の税額控除)等の適用期限(平成31年6月30日)を平成33年12月31日まで延長することとしました。

(2)住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置については、消費税率引上げの反動減対策としまして、平成28年10月以降、10%の税率が適用される住宅について非課税枠を上乗せし、3,000万円まで拡大(31年6月末まで段階的に縮小)することとしていましたが、この「上乗せ非課税枠」の適用期間を「平成31年4月1日から平成33年12月31日」まで2年半延長されます。
一方、現行1,200万円の非課税枠については、平成33年12月31日まで2年半延長されます。

(3)地方法人課税の偏在是正に係る措置の延期

地方税では、法人住民税法人税割の引下げなど、消費税率10%段階の地方法人課税の偏在是正に係る措置の施行日を平成31年10月1日に延期されます。

2016.08.02

どうなる相続人が家なき子の場合の空き家の譲渡特例と小規模宅地等特例の併用

相続人がいわゆる「家なき子」で相続により生じた空き家を改修して相続税申告期限後に被相続人居住用家屋等を譲渡した場合に、譲渡所得の特別控除を適用する特例が平成28年度税制改正により創設されました。ところで、その空き家に係る譲渡所得の特例と小規模宅地特例の適用関係が気になりませんか?この特例は、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡した場合に適用されます。

1.譲渡所得の特例

平成28年度税制改正により創設されました「空き家に係る譲渡所得の3,000万円控除の特例」の適用要件は、次のとおりです。
その対象財産について、被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等としており、相続開始から譲渡の時まで事業、貸付、居住の用に供されていたことがないことを必要としています。

2.小規模宅地の特例との併用について

相続税における小規模宅地等の特例との適用関係については特に排除されておらず、特定居住用宅地等の適用要件を満たす「家なき子」に該当する場合には、措法69の4③二ロにより、特定居住用宅地等の適用対象となり、相続税の申告期限まで被相続人居住用家屋等を所有等すれば本特例を併用できることとなります。

3.小規模宅地特例は申告期限まで所有要件

本特例では、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋及びその敷地等が対象であることから、相続の場面において、小規模宅地等の特例における被相続人の特定居住用宅地等に該当するか否かが気になるところです。
本特例については、措法35①③等により税法上、小規模宅地等の特例の適用を受けた者を排除する規定は設けられていません。

(1)小規模宅地等の特例における要件とは

小規模宅地等の特例において、特定居住用宅地等として330㎡まで80%の評価減の対象となる宅地等の要件は、次のとおりです。被相続人の配偶者が相続等で取得したもの、あるいは、①相続開始の直前において同居していた親族で、申告期限までに所有・居住していること、②配偶者も同居親族もいない場合、相続開始前3年以内に持家に居住したことがない親族が申告期限まで所有していること、③被相続人と生計を一にしていた親族で、申告期限までに所有・居住していることのいずれかの要件に該当する親族が取得したものとされています(措法69の4③二)。

(2)特例の併用に関する注意点

本特例では、相続開始から譲渡の時まで事業、貸付、居住の用に供されたことがないという要件がありますので、小規模宅地等の特例の適用対象と重なるのは、居住要件を求めない前述②のいわゆる“家なき子”が相続等をする場合の特定居住用宅地等に該当するケースに限られそうです(措法69の4③二ロ)。この場合には、相続税の申告期限まで所有を続ける必要がある点に留意してください。

4.相続と譲渡のまとめ

したがって、相続の場面では、小規模宅地等の特例の“家なき子”が相続開始から相続税の申告期限まで被相続人の居住用宅地等を所有するなど要件を満たせば、80%評価減の適用対象となります。また、譲渡の場面では、その家なき子が相続税の申告期限後、耐震改修又は除却等をした空き家に係る敷地等を一定期間内に譲渡する場合も、空き家に係る譲渡所得の3,000万円控除の特例についても適用を受けることが可能ということになります。

2016.04.20

所得税の医療費控除の特例としてスイッチOTC薬控除創設

平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間のOTC医薬品の購入費について医療用医薬品から転用した一定の市販薬を購入した場合に、購入費用を所得控除する制度として特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例が適用できます。

1.医療費控除の特例創設の背景

現行の医療費控除では、風邪薬などの市販薬の購入代金は控除対象になりますが、医療費の合計額が10万円を超えないと控除が受けられないため、市販薬の購入だけでは控除の適用は難しいという現実がありました。
一方、国民医療費は年々増大しており、厚生労働省によると平成26年度の医療費は約40兆円にのぼっています。このような医療需要の増大をできる限り抑えつつ、国民の健康寿命が延伸する社会を実現するためには、国民自らが健康管理を進めるセルフメディケーション(自主服薬)を推進することが重要であることから、医療用医薬品から転用した一定の市販薬(いわゆるスイッチOTC医薬品)を購入した場合に購入費用を所得控除する制度(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)が創設されることになりました。

2.医療費控除の特例スイッチOTC薬控除制度の内容

健康の維持増進及び疾病予防のため、一定の取組(特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診)をする個人(生計を一にする配偶者その他の親族を含む)が、一定のスイッチOTC医薬品を購入した場合、購入額の合計額が年間で1万2千円を超えるときは、超える部分(8万8千円が限度です。)が特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例として所得から控除されます。
ただし、この特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例制度の適用を受ける場合には、現行の医療費控除の適用を受けることはできませんので注意が必要です。

3.医療費控除の特例一定のスイッチOTC医薬品とは

OTC(Over The Counter)医薬品とは、カウンター越しに売られる医薬品、つまり市販薬のことです。医薬品を大別すると、医師の処方箋に基づき薬剤師が調達する医療用医薬品と、処方箋なしに薬局やドラッグストアなどで買えるいわゆる市販薬があり、市販薬は効き目の強さや、逆に言えば副作用などのリスクの高さにより、要指導医薬品と一般用医薬品(第1類・第2類・第3類)に分かれます。リスクが高いことから、要指導医薬品及び一般用医薬品のうち第1類の医薬品の購入時には薬剤師等からの指導等を受けることが必要となっています。
これら、要指導医薬品と一般用医薬品のうち、医療用医薬品から市販薬に転用(スイッチ)された一定の医薬品(類似の医療用医薬品が医療保険給付の対象外のものを除く)が、一定のスイッチOTC医薬品になります。

4.医療費控除の特例スイッチOTC薬控除の適用期日

この医療費控除の特例制度は、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間のOTC医薬品の購入費に適用されます。

2016.04.19

相続により生じた空き家を改修して譲渡した場合

相続により生じた空き家を改修して譲渡した場合に、譲渡所得の特別控除を適用する特例が平成28年度税制改正により創設されました。この特例は、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡した場合に適用されます。

1.空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例創設の背景

ネズミ・ハエ等の発生やごみの放置等による不衛生、火災や倒壊の恐れなど、適切な管理が行われていない空き家が地域住民の生活環境に悪影響を及ぼしていることから、迷惑・危険な「特定空き家」と認定された場合に、修繕・撤去などにより改善されなければ市区町村が除去にまで踏み込める空き家対策法が昨年5月に完全実施されました。そして税制面からは、固定資産税が税額を200㎡以下の部分は6分の1、200㎡超の部分は3分の1に減額という住宅特例の対象から除外する措置が手当され、平成28年度分から適用されています。
ところで、総務省の住宅・土地統計調査によると、空き家のうち、周辺の生活環境に悪影響を及ぼし得る空き家の数は、毎年平均して約6.4万戸増加しています。また、国土交通省が実態調査したところ、居住用家屋が空き家化するケースとしては相続時が最も多く、周辺の生活環境に悪影響を及ぼし得る空き家の75%は昭和56年5月31日以前の旧耐震基準の下で建築され、そのうち約60%が耐震性のない家屋であると推計しています。
そこで、自分の意見とは無関係に発生する相続による相続人の空き家管理の負担増も踏まえ、古い空き家のうち、使える空き家は耐震リフォームなどにより利用し、使えない空き家は除去し有効活用することなど空き家の発生を抑制する一定の対応をした場合には、税制優遇措置を適用することが必要であるとの要望が出されていました。

2.空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例制度の内容

相続した家屋(耐震性がない場合は耐震改修をしたもの)又は家屋除去後の敷地を譲渡した場合、居住用財産の譲渡所得の3千万円特別控除が適用されることになりました。。

3.空き家に係る譲渡所得の特別控除の適用要件

空き家に係る譲渡所得の特別控除に対して、居住用財産の譲渡所得の3千万円特別控除は、現に自分が住んでいることが適用要件になっています。もっとも、現在、自分が住んでいなくても、「譲渡した家屋は過去に自分が所有者として住んでいた」、「自分が住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに家屋を譲渡した」の2つの要件を満たす場合は、適用が受けられます。
これに対し、28年度改正で創設された空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例は、過去に自分が住んでいたかどうかは要件とされない点が大きく異なります。
この特例の適用を受けるためには、被相続人居住用家屋・敷地が、下記の適用要件を満たすことの確認をした旨を証明する地方公共団体の長等の書類を添付して、確定申告をする必要があります。
相続財産に係る譲渡所得の課税の特例との選択適用となりますが、居住用財産の買換え等の特例とは重複適用できます。
(1)相続開始直前に被相続人のみが居住していた昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除きます)及びその敷地で、相続の開始日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡した場合に限られます。
(2)譲渡対価の額が1億円を超えるものには適用されません。また、譲渡価額が1億円以下であっても、相続の時から譲渡した日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに、譲渡した家屋と一体として被相続人が居住していた家屋・土地等を譲渡したときは、その譲渡価額と当初の譲渡価額との合計額が1億円を超える場合は特例の適用はありません。
(3)譲渡をする家屋又は土地は、相続の時から譲渡の時まで事業用、貸付用、居住用に使われていないことが必要です。

4.空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用期日

この特例は、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡した場合に適用されます。

2016.04.18

所得税で三世代同居に対応した住宅のリフォームに特例

平成28年度の税制改正により三世代同居住宅にリフォームした場合の所得税の税制優遇措置が創設され、2世帯住宅への改修なども対象となると言われていた新しい住宅リフォーム減税が4月から始まった。その呼び方は3世代同居改修のための税制の特例とも言われています。改修工事費用が借入金のときには住宅ローン控除、自己資金のときには所得税額の特別控除の適用対象に追加されました。祖父母と親と子の3代の同居を促すというものらしいので創設の背景からみてみましょう。

1.三世代同居に対応した住宅のリフォームに特例創設の背景

出産・子育てへの不安や負担の大きさが少子化の要因の1つであることを踏まえ、世代間の助け合いによる子育てしやすい環境整備を図るためには三世代同居を促進する必要があることから、三世代同居に対応したリフォーム工事を行う場合の優遇措置が求められていたそうです。

2.三世代同居に対応したリフォーム工事を行う場合の制度の内容

居住している住宅に他の世帯と同居するのに必要な設備の数を増加させるための特定多世帯同居改修工事等をして、平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間に居住した場合に、工事費用が借入金のときには住宅ローン控除の適用対象に、自己資金のときには所得税額の特別控除の適用対象に追加されます。

(1)住宅ローン控除の場合は特定増改築等住宅借入金等特別控除に追加

住宅ローン控除の場合は、バリアフリー・省エネ改修工事を適用対象とする特定増改築等住宅借入金等特別控除の適用対象に追加されました。償還期間5年以上が対象で、住宅ローンの年末残高1千万円を限度に、特定多世帯同居改修工事等に係る工事費用からその工事に係る補助金等を控除した金額(250万円が限度です)に相当する住宅借入金等の年末残高の2%と、それ以外の住宅借入金等の年末残高の1%の合計額が控除されます。
控除期間は5年間で住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除との選択適用となります。
1千万円が限度であるため、上限額が適用されると、(250万円×2%)+{(1千万円-250万円)×1%}=年間12.5万円となります。5年間では最大62.5万円となります。

(2)所得税額の特別控除の場合は既存住宅特定改修特別税額控除に追加

所得税の特別控除の場合は、バリアフリー・省エネ改修工事を適用対象とする既存住宅特定改修特別税額控除の適用対象に追加されました。改修工事の標準的な工事費用相当額(250万円が限度です)の10%相当額が所得税額から控除されます。
この特例は、その年分の合計所得金額が3千万円を超える場合には適用されず、この特例を受けた場合には、3年間は同特例の適用を受けることが出来ません。また、この特例は住宅借入金を有する場合の所得税額の特別控除又は特定の増改築等に係る住宅借入金を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例の適用を受ける場合には、適用されません。

(3)特例の適用要件

上記(1)(2)の両特例とも、下記の改修後これらのいずれか2つ以上が複数となる増設する工事であって、工事費用(補助金等が有る場合は補助金等控除後の金額)が50万円を超える改修工事が要件となります。
①調理室、②浴室、③トイレ、④玄関の何れかの増設工事が対象となります。

3.三世代同居に対応したリフォーム工事を行う場合の優遇適用期日

この制度は、平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間の居住に適用されます。

4.三世代同居住宅リフォーム工事のまとめ

ローン型住宅リフォーム減税(借入金残高の一定割合を所得税額から控除)の場合も自己資金型住宅リフォーム減税も創設の背景が暮らしに共感されますでしょうか。

2016.04.17

所得税の住宅借入金等(住宅ローン)特別控除

住宅借入金等(住宅ローン)特別控除とは、居住者が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得又は増改築等(以下「取得等」といいます。)をし、平成31年6月30日までに自己の居住の用に供した場合で一定の要件を満たす場合において、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除するものです。
この住宅借入金等特別控除は、居住者が住宅を新築又は建築後使用されたことのない住宅を取得した場合に限って受けることができます。したがって、非居住者に該当する方が住宅を新築又は建築後使用されたことのない住宅を取得した場合は、住宅借入金等特別控除を受けることはできませんので注意が必要です。
贈与による取得、生計を一にする親族や特別な関係のある者からの取得は、この特別控除の適用はありませんので注意が必要です。

1.住宅借入金等(住宅ローン)特別控除の適用要件

居住者が住宅を新築又は建築後使用されたことのない住宅を取得した場合で、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるのは、次の全ての要件を満たすときです
(1)新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいることが必要です。 居住者が死亡した日の属する年又は家屋が災害により居住の用に供することができなくなった日の属する年にあっては、これらの日まで引き続き住んでいることも要件です。居住の用に供する住宅を二つ以上所有する場合には、主として居住の用に供する一つの住宅に限られます。
(2)この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であることが必要です。
(3)新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであることが必要です。 この場合の床面積の判断基準は、次のとおりです。
①床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断します。
②マンションの場合は、階段や通路など共同で使用している部分については床面積に含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断します。
③店舗や事務所などと併用になっている住宅の場合は、店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断します。
④夫婦や親子などで共有する住宅の場合は、床面積に共有持分を乗じて判断するのではなく、ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積によって判断します。
⑤マンションのように建物の一部を区分所有している住宅の場合は、その区分所有する部分(専有部分)の床面積によって判断します。
(4)10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築又は取得のための一定の借入金又は債務(住宅とともに取得するその住宅の敷地の用に供される土地等の取得のための借入金等を含みます。)があることが必要です。
一定の借入金又は債務とは、例えば銀行等の金融機関、独立行政法人住宅金融支援機構、勤務先などからの借入金や独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社、建設業者などに対する債務です。しかし、勤務先からの借入金の場合には、無利子又は1%に満たない利率による借入金はこの特別控除の対象となる借入金には該当しません。また、親族や知人からの借入金は全て、この特別控除の対象となる借入金には該当しません。
(5)居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないことも要件となります。

2.住宅借入金等特別控除の控除期間及び控除額の計算方法

(1)住宅借入金等特別控除の控除額の計算方法
住宅借入金等特別控除の控除額は、住宅ローン等の年末残高の合計額(住宅の取得等の対価の額又は費用の額が住宅ローン等の年末残高の合計額よりも少ないときは、その取得等の対価の額又は費用の額。以下「年末残高等」といいます。)を基に、居住の用に供した年分の計算方法により算出します(100円未満の端数金額は切り捨てます。)。
(2)住宅借入金等特別控除の住宅の取得等の対価の額又は費用の額
住宅ローン等の年末残高の合計額を計算するときの住宅の取得等の対価の額又は費用の額は、次の①及び②を控除します。
① 平成23年6月30日以後に住宅の取得等の契約をし、その住宅の取得等に関し、補助金等(国又は地方公共団体から交付される補助金又は給付金その他これらに準ずるものをいいます。以下同じです。)の交付を受ける場合には、その補助金等の額を控除します。
② 住宅の取得等に際して住宅取得等資金の贈与を受け、住宅取得等資金の贈与税の非課税又は相続時精算課税選択の特例(以下、併せて「住宅取得等資金の贈与の特例」といいます。)を適用した場合には、その適用を受けた住宅取得等資金の額を控除します。
(3)住宅借入金等特別控除の控除期間及び控除額
居住の用に供した年が平成26年4月1日から平成31年6月30日までの場合の住宅借入金等特別控除の控除期間は10年で、各年の控除額の計算と控除限度額は、1~10年目の各年末残高等×1%で、控除限度額は40万円となります。この控除限度額は、住宅の取得等が特定取得に該当する場合であり、それ以外の場合の控除限度額は20万円となります。
その特定取得とは、住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等(消費税額及び地方消費税額の合計額をいいます。)が、8%又は10%の税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得等をいいます。

3.認定住宅の新築等は住宅借入金等特別控除の特例

(1)認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例
次の①又は②の新築又は建築後使用されたことのない認定住宅の購入(以下「認定住宅の新築等」といいます。)をして、平成21年6月4日(認定低炭素住宅については平成24年12月4日(ただし、低炭素建築物とみなされる特定建築物に該当する家屋については平成25年6月1日))から平成31年6月30日までの間に自己の居住の用に供し上記2の適用要件を満たしている方は、その居住の用に供した年以後10年間の各年分の所得税の額から、次により計算した住宅借入金等特別控除額の控除(以下「認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例」といいます。)を受けることができます。
① 長期優良住宅の普及の促進に関する法律に規定する認定長期優良住宅に該当する家屋(以下「認定長期優良住宅」といいます。)
② 都市の低炭素化の普及の促進に関する法律に規定する低炭素建築物に該当する家屋若しくは同法の規定により低炭素建築物とみなされる特定建築物に該当する家屋(以下、これらを「認定低炭素住宅」といい、認定長期優良住宅と認定低炭素住宅とを併せて「認定住宅」と総称します。)
(2)住宅借入金等特別控除の控除期間及び控除額
居住の用に供した年が平成26年4月1日から平成31年6月30日までの場合の住宅借入金等特別控除の控除期間は10年で、各年の控除額の計算と控除限度額は、1~10年目の各年末残高等×1%で、控除限度額は50万円となります。この控除限度額は、住宅の取得等が特定取得に該当する場合であり、それ以外の場合の控除限度額は30万円となります。
その特定取得とは、住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等(消費税額及び地方消費税額の合計額をいいます。)が、8%又は10%の税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得等をいいます。
認定住宅の新築等について認定住宅新築等特別税額控除の適用を受ける場合には、その認定住宅の新築等について住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできませんので注意が必要です。

4.住宅借入金等特別控除の適用を受けるための手続

住宅借入金等特別控除の適用を受けるための手続は、控除を受ける最初の年分と2年目以後の年分とでは異なります。
(1)控除を受ける最初の年分の手続き
控除を受ける最初の年分は、必要事項を記載した確定申告書に、敷地の取得に係る住宅借入金等がない場合、敷地の取得に係る住宅借入金等がある場合、認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例を適用する場合、給与所得者の場合に応じてそれぞれの書類を添付して、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に提出する必要があります。
(2)2年目以後の年分の手続き
2年目以後の年分は、必要事項を記載した確定申告書に「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」(付表1や2が必要な場合はこれらの付表を含みます。)のほか、住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(2か所以上から交付を受けている場合は、その全ての証明書)を添付して提出すればよいことになっています。
(3)給与所得者の手続き
給与所得者は、控除を受ける最初の年分については、上記のとおり、確定申告書を提出する必要がありますが、2年目以後の年分は、年末調整でこの特別控除の適用を受けることができます。この場合、税務署から送付される「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」・「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を勤務先に提出する必要があります。