2016.08.09

どうなる消費税の税率引上げ適用時期の変更に伴う税制上の改正措置

政府与党は、消費税の税率引上げ時期の変更に伴う税制上の改正措置を正式決定しました。住宅ローン減税、住宅取得等資金の贈与税の非課税措置など所得税・贈与税への影響も気になります。これは税制改正大綱に相当するもので、例年の与党税制改正大綱と同様で「基本的考え方」と「具体的内容」の二部構成となっています。消費税率10%への引上げ及び軽減税率制度の導入を平成31年10月に2年半延期するとともに、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入を平成35年10月に延期することが柱となっています。ほとんどの措置は、税率引上げ延期に伴う適用時期の変更ですが、「税額計算の特例」については、内容を変更し、大規模事業者の適用を認めないこととしました。
この他関連措置として「転嫁対策」「総額表示義務の特例」及び「住宅ローン減税の拡充措置」の適用期限延長、「住宅取得等資金贈与の特例」の非課税枠を上乗せする期間の延期なども行われます。これを踏まえ、政府は秋の臨時国会に関連法案を提出するようです。

1.消費税の税額計算の特例は中小事業者に限定

ほとんどが消費税の税率引上げ延期に伴う適用時期の変更ですが、消費税の税額計算の特例については、内容を変更している点にも注目しましょう。

(1)消費税率10%への引上げ時期の変更

消費税率10%への引上げの「施行日」を平成31年10月1日に、請負工事等に係る適用税率の経過措置の「指定日」を31年4月1日としました。

(2)軽減税率制度の導入時期の変更

消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置として、「軽減税率制度」の導入時期を31年10月1日に延期することとしています。

(3)消費税の税額計算の特例の適用についての変更

これを踏まえて軽減税率制度の導入後の一定の間は、区分経理が困難な事業者を対象に適用を認めることとしていた「税額計算の特例」の適用時期も2年半延期されます。
さらに特例の適用は中小事業者に限定されます。システム整備が間に合わない場合を想定して、1年間に限り、大規模事業者も特例の適用を可能としていましたが、「軽減税率制度」の導入時期の延期を踏まえ、適用を認めないことと変更されます。

2.適格請求書発行事業者の登録時期の延期

いわゆるインボイス制度の導入時期が平成33年4月1日から延期されるか否かに注目が集まっていましたが、平成35年10月1日まで2年半延期することとしました。これに伴い、適格請求書発行事業者の「登録」についても申請受付開始を平成33年10月1日に延期されます。
また、インボイス制度の導入後も6年間は、免税事業者からの仕入税額控除を一定割合認めることとしていましたが、この経過措置の実施時期も変更されます。平成35年10月1日から平成38年9月30日までは仕入税額相当額の80%、平成38年10月1日から平成41年9月30日までは同50%の控除ができることとしました。

3.総額表示義務の特例の延長

消費税転嫁対策特別措置法の適用期限(平成30年9月30日)を平成33年3月31日まで2年半延長することとしました。
同法では、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」を講じていれば税込価格を表示することを要しない「総額表示義務の特例」が認められています。

4.どうなる住宅ローン減税、住宅取得等資金の贈与税の非課税措置

税率引上げ時期の延期(増税延期)を踏まえて、反動減対策も以下のように延期されます。

(1)住宅ローン減税等の適用期限の延長

住宅ローン減税(10年間合計で最大500万円の税額控除)等の適用期限(平成31年6月30日)を平成33年12月31日まで延長することとしました。

(2)住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置については、消費税率引上げの反動減対策としまして、平成28年10月以降、10%の税率が適用される住宅について非課税枠を上乗せし、3,000万円まで拡大(31年6月末まで段階的に縮小)することとしていましたが、この「上乗せ非課税枠」の適用期間を「平成31年4月1日から平成33年12月31日」まで2年半延長されます。
一方、現行1,200万円の非課税枠については、平成33年12月31日まで2年半延長されます。

(3)地方法人課税の偏在是正に係る措置の延期

地方税では、法人住民税法人税割の引下げなど、消費税率10%段階の地方法人課税の偏在是正に係る措置の施行日を平成31年10月1日に延期されます。

2016.04.16

贈与税の非課税の措置:結婚・子育て資金の一括贈与

結婚・子育て資金の一括贈与時の非課税制度は、将来の経済的不安が若年層に結婚・出産を躊躇させる大きな要因の一つとなっていることを踏まえ、両親や祖父母の資産を早期に移転することを通じて子や孫の結婚・出産・子育てを支援するために平成27年4月1日に創設された制度ですが、結婚・子育て資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合や受贈者が50歳に達したときに、結婚・子育て資金に支出しなかったなった残金に対して相続税や贈与税が課税されないか確認をする必要があります。
平成28年度税制改正により、その対象となる費用が明確化されています。

1.結婚・子育て資金の一括贈与時の非課税の措置

20歳以上50歳未満の個人が結婚・子育て資金の支払に充てるために、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に、その直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受け、その受贈者が50歳に達するまでの間に、結婚・子育て資金として支出した金額は、1,000万円を限度として非課税とされます。

2.非課税の対象となる結婚・子育て資金の一括贈与の手段

結婚・子育て資金に充てるための一括贈与の手段は次の場合となります。
(1)その直系尊属と信託会社との間の結婚・子育て資金管理契約に基づき信託の受益権を取得した場合、
(2)その直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭を結婚・子育て資金管理契約に基づき銀行等の営業所等において預金若しくは貯金として預入をした場合
(3)結婚・子育て資金管理契約に基づきその直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭等で証券会社の営業所等において有価証券を購入した場合
これらの場合には、既にこの結婚・子育て資金の非課税の特例の適用を受けて贈与税の課税価格に算入しなかった金額がある場合には、その算入しなかった金額を控除した残額となりますが、その信託受益権、金銭又は金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額が贈与税の課税価格に算入されないことになります。

3.非課税の対象となる結婚・子育て資金の範囲

合わせて1,000万円限度の贈与税の非課税の対象となる結婚・子育て資金とは、次の(1)又は(2)に掲げる金銭をいうこととされています。

(1)結婚に際して支出する300万円が限度となる次のような金銭

①挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露宴を含む)費用(婚姻の日の1年前の日以後に支払われるものに限られます)
②家賃、敷金等の新居費用、転居費用(一定の期間内に支払われるものに限られます)

(2)妊娠、出産及び育児に要する次のような金銭

① 不妊治療費のうち、処方箋に基づき処方される薬局に支払う医薬品代(28年度税制改正)、妊婦健診に要する費用
② 出産費用のうち、産前産後の母親の医療費及び処方箋に基づき処方される薬局に支払う医薬品代、母親の産後健診費用(28年度税制改正)
③ 分べん費等、産後ケアに要する費用
④ 子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)など
※ 結婚・子育て資金の範囲などについて不明な点がある場合には、内閣府子ども・子育て本部へお尋ねください。 内閣府ホームページには結婚・子育て資金の範囲に関する情報が掲載されています。

4.結婚・子育て資金管理契約の終了時の課税

次のイ又はロの事由に該当したことにより結婚・子育て資金管理契約が終了した場合において、その結婚・子育て資金管理契約に係る非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額(結婚に際して支出する費用については300万円を限度とし、相続等により取得したものとみなされる資金管理残額を含みます。)を控除した残額があるときは、その残額については、イ又はロに該当する日の属する年の贈与税の課税価格に算入されます。
イ, 受贈者が50歳に達したこと
ロ. 結婚・子育て資金管理契約に係る信託財産の価額が零となった場合、結婚・子育て資金管理契約の預金若しくは貯金の額が零となった場合又は結婚・子育て資金管理契約に基づき保管されている有価証券の価額が零となった場合において受贈者と取扱金融機関との間でこれらの結婚・子育て資金管理契約を終了させる合意があったことによりその結婚・子育て資金管理契約が終了したこと

5.一括贈与時に非課税の適用を受けるための申告手続

結婚・子育て資金の非課税の特例の適用を受けるためには、その適用を受けようとする受贈者が、結婚・子育て資金非課税申告書を、その結婚・子育て資金非課税申告書に記載した取扱金融機関の営業所等を経由して、信託がされる日、預金若しくは貯金の預入をする日又は有価証券を購入する日までに、その受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
その結婚・子育て資金非課税申告書が取扱金融機関の営業所に受理された場合には、その受理された日にその受贈者の納税地の所轄税務署長に提出されたものとみなされます。 その預入等期限までに結婚・子育て資金非課税申告書の提出がない場合には、結婚・子育て資金の非課税の特例の適用を受けることはできないこととなりますので注意が必要です。

6.結婚・子育て資金管理契約が終了した場合の手続

上記4のイ又はロの場合に該当したことにより結婚・子育て資金管理契約が終了した場合において、その結婚・子育て資金管理契約に係る非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額(結婚に際して支出する資金については、300万円を限度とし、相続等により取得したものとみなされる管理残額を含みます。)を控除した残額があるときは、その残額については、その結婚・子育て資金管理契約の上記4のイ又はロに該当する日の属する年の贈与税の課税価格に算入されることになりますので、贈与税の申告義務がある方については、その年の翌年の2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。 また、その贈与税の申告に適用される法令は、上記4のイ又はロに該当する日に施行されている法令となります。
なお、結婚・子育て資金管理契約が終了した日において取扱金融機関の営業所等に対してまだ提出していない領収書等については、その結婚・子育て資金管理契約が終了する日の属する月の翌月末日までにその領収書等を取扱金融機関の営業所等に対して提出しなければなりません。
受贈者の死亡により結婚・子育て資金管理契約が終了した場合には、その残額は贈与税の課税価格に算入されませんが、その贈与者の死亡に係る相続税については下記7を確認して下さい。

7.結婚・子育て資金契約期間中に贈与者が死亡した場合の取扱い

信託等があった日から結婚・子育て資金管理契約終了の日までの間に贈与者が死亡した場合には、その贈与者の死亡の日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額については、受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなして、その贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算します。この場合において、その残額に対応する相続税額については相続税額の2割加算の対象とはしません。

結婚・子育て資金の一括贈与時の非課税のまとめ

結婚・子育て資金の一括贈与と教育資金の一括贈与との違いを確認します。
教育資金の一括贈与の場合にも、受贈者が30歳に達したときに教育資金に支出しなかった金額は、そのときに贈与があったものとみなされ、同じく贈与税が課税されます。
贈与者が死亡した場合には、教育資金の一括贈与は教育資金に支出しなかった残額があってもその残額は贈与税の課税価格に算入されるこはなく、相続財産として課税価格に加算される事はありませんが、結婚・子育て資金の一括贈与は、その贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算されますので注意が必要です。
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例制度もあり、それぞれ相続・相続税対策として人気を集めていますが、それぞれ制度のメリットとデメリットを確認して思わぬ落とし穴に陥らないようにしましょう。

2016.04.15

贈与税の非課税の特例:住宅の購入資金の贈与を受けた場合

贈与税の直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例制度ですが、肝心の住宅の完成引き渡しが贈与を受けた翌年の3月15日までに間に合わないことが無いように注意が必要です。 非課税の適用要件を満たさず贈与税の課税対象となり贈与税の申告が必要なケースもあります。 たとえ要件を満たして非課税とは言えども贈与税の申告が必要となりますので注意が必要です。
住宅取得等資金の贈与税の非課税制度は、既に新非課税制度に変わり平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金を自己の居住の用に供する家屋の新築若しくは取得又はその増改築等の対価に充てて新築若しくは取得又は増改築等をし、その家屋を同日までに自己の居住の用に供したとき又は同日後遅滞なく自己の居住の用に供することが確実であると見込まれるときには、住宅取得等資金のうち一定金額について贈与税が非課税となる特例制度です。
既に平成21年分から平成26年分において、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例の適用を受けている場合には、平成27年分以降の贈与でこの贈与税の非課税の特例の適用を受けることはできませんので注意が必要です。
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贈与税の新非課税制度 イメージ(出典は国税庁です)

1.贈与税の非課税の特例の対象となる受贈者の要件

贈与税の非課税の特例の対象となる受贈者の要件は次の(1)から(4)の全てを満たす必要があります。
(1) 受贈者は次のいずれかに該当する者であることが必要です。
① 贈与を受けた時に日本国内に住所を有すること。
② 贈与を受けた時に日本国内に住所を有しないものの日本国籍を有し、かつ、受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。
③ 贈与を受けた時に日本国内に住所も日本国籍も有しないが、贈与者が日本国内に住所を有している。
(2) 受贈者は贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること。(直系卑属とは子や孫などのことですが、子や孫などの配偶者は含まれません。)
(3) 受贈者は贈与を受けた年の1月1において20歳以上であること。
(4) 受贈者は贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。

2.贈与税の非課税の対象となる住宅取得等資金の範囲

贈与税の非課税の対象となる住宅取得等資金とは、受贈者が自己の居住の用に供する家屋を新築若しくは取得又は自己の居住の用に供している家屋の増改築等の対価に充てるための金銭をいいます。

3. 居住用の家屋の新築若しくは取得又はその増改築等

居住用の家屋の新築若しくは取得又はその増改築等には、次のものも含まれます。
イ. その家屋の新築若しくは取得又は増改築等とともにするその家屋の敷地の用に供される土地や借地権などの取得
ロ. 住宅用の家屋の新築(住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の翌年3月15日までに行われたものに限ります。)に先行してするその敷地の用に供される土地や借地権などの取得
注)ただし、受贈者の一定の親族など受贈者と特別の関係がある者との請負契約等により新築若しくは増改築等をする場合又はこれらの者から取得する場合には、この特例の適用を受けることはできません。
注)受贈者の一定の親族など受贈者と特別の関係がある者とは、次の者をいいます。
① 受贈者の配偶者及び直系血族
② 受贈者の親族(①以外の者)で受贈者と生計を一にしているもの
③ 受贈者と内縁関係にある者及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの
④ ①から③に掲げる者以外の者で受贈者から受ける金銭等によって生計を維持しているもの及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの

4.特例の対象となる居住用の家屋の要件

居住用の家屋とは、次の要件を満たす日本国内にある家屋をいいます。
なお、居住の用に供する家屋が二つ以上ある場合には、贈与を受けた者が主として居住の用に供すると認められる一つの家屋に限ります。
(1)家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50平方メートル以上240平方メートル以下であること。
(2)購入する家屋が中古の場合は、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
① 耐火建築物である家屋の場合は、その家屋の取得の日以前25年以内に建築されたものであること。
②  耐火建築物以外の家屋の場合は、その家屋の取得の日以前20年以内に建築されたものであること。
③ 地震に対する安全性に係る基準に適合するものとして、一定の「耐震基準適合証明書」、「住宅性能評価書の写し」又は既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類により証明されたものであること。
④ ①から③のいずれにも該当しない家屋の場合で、その家屋の取得の日までに同日以降に耐震改修工事を行うことについて所定の手続きをし、かつ、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき、一定の書類で証明されたものであること
(3)床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること。

5.特例の対象となる居住用家屋の増改築等の要件

特例の対象となる増改築等とは、贈与を受けた者が日本国内に所有する自己の居住の用に供している家屋について行われる増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替その他の工事のうち一定のもので次の要件を満たすものをいいます。
(1)増改築等の工事に要した費用が100万円以上であることが必要です。
居住用部分の工事費は全体の工事費の2分の1以上でなければなりません。
(2)増改築等後の家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されることが必要です。
(3)増改築等後の家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50平方メートル以上240平方メートル以下であること。
ニ 増改築等に係る工事が、一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」、「検査済証の写し」又は「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであることが必要です。

6.受贈者ごとの非課税限度額

平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間に住宅取得等資金を贈与により取得した場合における受贈者1人についての非課税限度額は、住宅の種類や住宅用家屋の取得等に係る契約の締結がいつになるかにより異なることとなりました。
各年分の非課税限度額は、下記のとおりとなります。

(1)住宅資金非課税限度額

下記(2)以外の場合(以下、住宅資金非課税限度額といいます。)
住宅用家屋の取得等に係る
契約の締結期間       良質な住宅用家屋  左記以外の住宅
~平成27年12月         1,500万円     1,000万円
平成28年1月~平成29年9月  1,200万円      700万円
平成29年10月~平成30年9月  1,000万円      500万円
平成30年10月~平成31年6月   800万円      300万円

(2)特別住宅資金非課税限度額

住宅用家屋の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合(以下、特別住宅資金非課税限度額といいます。)で、住宅用家屋の新築等の契約締結日が平成28年10月1日から平成31年6月30日までの契約で、住宅用の家屋の新築等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%であるときに限られます。
住宅用家屋の取得等に係る
契約の締結期間       良質な住宅用家屋  左記以外の住宅
平成28年10月~平成29年9月  3,000万円     2,500万円
平成29年10月~平成30年9月  1,500万円     1,000万円
平成30年10月~平成31年6月  1,200万円      700万円

(注1) 既に非課税の特例の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合には、その金額を控除した残額が非課税限度額になります。
また、平成28年9月以前に契約を締結した住宅用家屋について、消費税率10%以外の場合の住宅資金非課税限度額(上記の表(1)に掲げる部分)の適用を既に受けたことがある者であっても、平成28年10月以降に住宅用家屋の売買契約、又は自己が居住している住宅用家屋の増改築工事の請負契約を締結して消費税率10%が適用される場合には、特別住宅資金非課税限度額(上記の表(2)に掲げる部分)の適用を再度受けることができます。
(注2) 「良質な住宅用家屋」とは、省エネ等基準(省エネルギー対策等級4(平成27年4月以降は断熱等性能等級4)相当以上であること、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上であること又は免震建築物であること)に該当する住宅用家屋であること、一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅用家屋であること又は高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上に該当する住宅用家屋であることにつき、一定の書類により証明されたものをいいます。

7.住宅取得等資金の非課税の特例の適用を受けるための手続

贈与税の非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与税の非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に計算明細書、戸籍の謄本、住民票の写し、登記事項証明書、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。

まとめ

住宅取得等資金の贈与税の非課税制度を利用して贈与税の申告する場合にも、暦年課税により基礎控除110万円を控除した後の課税価格に贈与税の速算表で税額を計算する方法と相続税精算課税を選択して特別控除2500万円を控除した後の課税価格に一律20%の税率で税額を計算する方法があります。

2016.04.13

贈与税の配偶者控除は夫婦間で居住用不動産を贈与したとき

贈与税の配偶者控除は同じ配偶者からの贈与について一生に一度しか適用を受けることができないから、きっかけやタイミングが問題となり慎重になりますね。
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合には、贈与税の基礎控除110万円の他に更に最高2,000万円まで控除できるという贈与税の配偶者控除の特例があります。不動産取得税や登記費用はかかりますが、贈与税が無税となる特例が用意されているのは非常に嬉しい話です。
以下、手続きなど本分は平成28年4月1日現在の改正法令等によります。

1.贈与の年に贈与者が死亡した場合の贈与税の配偶者控除の適用

まず贈与のタイミングから心配なことは、婚姻期間が20年以上の配偶者から居住用不動産の贈与を受けた年にその配偶者が死亡した場合に配偶者控除が適用できるか否かではないのでしょうか?
(1)被相続人から相続や遺贈によって財産を取得した人が、相続開始の年に被相続人から財産の贈与を受けていた場合には、その贈与を受けた財産については相続税の課税価格に加算されるため贈与税はかからないことになります。
(2)一方、相続開始の年に婚姻期間が20年以上である被相続人から贈与によって取得した居住用不動産については、過去にその被相続人からの贈与について配偶者控除を受けていないときは、その居住用不動産について贈与税の配偶者控除があるものとして控除される部分は、相続税の課税価格に加算されないことから、相続税の対象とはならないことになります。
(3)本題の配偶者控除の適用ですが、上記(2)の相続税の課税価格に加算されない部分は、贈与税の申告をすることになります。その贈与税の申告をする必要がある部分については、下記2の配偶者控除の適用要件を満たしている場合には、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができます。

2.贈与税の配偶者控除の特例を受けるための要件

贈与税の配偶者控除の特例を受けるためには、下記の要件をすべて満たす必要があります。
(1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
(2) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
(3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

3.贈与税の配偶者控除の対象となる居住用不動産の範囲

婚姻期間20年以上の夫婦の間で居住用不動産の贈与が行われ、一定の条件に当てはまる場合には贈与税の配偶者控除が受けられますが、対象となる居住用不動産の範囲は次の通りです。
(1) 対象となる居住用不動産は、贈与を受けた配偶者が居住するための国内の家屋又はその家屋の敷地です。居住用家屋の敷地には借地権も含まれます。
(2) 居住用家屋とその敷地は一括して贈与を受ける必要はありませんので、居住用家屋のみあるいは居住用家屋の敷地のみ贈与を受けた場合も配偶者控除を適用できます。
この居住用家屋の敷地のみの贈与について配偶者控除を適用する場合には、次のいずれかに当てはまることが必要です。
① 夫又は妻が居住用家屋を所有していること。
② 贈与を受けた配偶者と同居する親族が居住用家屋を所有していること。
(3)上記の具体的な事例は次の様な場合です。
例えば、妻が居住用家屋を所有していて、その夫が敷地を所有しているときに妻が夫からその敷地の贈与を受ける場合や、夫婦と子供が同居していて、その居住用家屋の所有者が子供で敷地の所有者が夫であるときに、妻が夫からその敷地の贈与を受ける場合などが考えられます。
(4)居住用家屋の敷地の一部の贈与であっても、配偶者控除を適用できます。
(5)居住用家屋の敷地が借地権のときに金銭の贈与を受けて、地主から底地を購入した場合も、居住用不動産を取得したことになり、配偶者控除を適用できます。
(6)居住用家屋の敷地が2筆以上でその一部に家屋が建っているのみの場合は、社会通念に照らして、居住用家屋の敷地として一体として使用されていると認められる部分について居住用不動産として取り扱われます。

4.贈与税の配偶者控除は低額譲受けによる利益相当額も適用

質疑応答照会事例より「夫から妻に時価3,670万円の居住用不動産を2,670万円で譲渡しました。妻は資力があり売買代金支払いの事実が認められます。
妻は低額譲受け部分の1,000万円について居住用不動産の贈与を受けたものとして贈与税の申告をすることとなります。 このような場合には、妻が贈与を受けたものとして課税対象となるのは、居住用不動産でなく、低額譲受けによる利益相当額であると考えられます。」このような場合は実質的には1,000万円相当の居住用不動産の贈与を受けたものとして贈与税の配偶者控除の適用が認められます。

5.贈与税の配偶者控除の特例適用を受けるための手続

贈与税の申告書に次の書類を添付して申告をすることが必要です。
(1)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本(2)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し(3)居住用不動産を取得したことを証する書類(改正により平成28年1月1日以後に贈与により取得する財産の贈与税について適用されます)従前は登記事項証明書でしたが改正後は贈与登記後の登記事項証明書に限らず、贈与契約書などを添付して申告することができます。
(4)その居住用不動産に住んだ日以後に作成された住民票の写し
戸籍の附票の写しに記載されている住所が居住用不動産の所在場所である場合には、住民票の写しの添付は不要となります。
上記の書類のほかに、金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、その居住用不動産を評価するための書類として固定資産評価証明書などが必要となります。

贈与税の配偶者控除のまとめ

贈与税は毎年110万円の基礎控除がありますが、1回で大きな節税効果を生じる魅力的な制度が贈与税の配偶者控除です。2,110万円までの贈与を受けても贈与税はかかりませんので、将来の相続対策としても配偶者の権利確保としても効果は絶大と言えます。 2,110万円を超えて居住用不動産の贈与をされる場合に、その超える部分の金額について適用される贈与税の一般贈与財産の一般税率の税率でも税率が低いと思われる方は事前に相談して下さい。
不動産の相続税評価額は時価に比べて低くなる傾向があります。同じ金額を贈与するならば、金銭による贈与よりは不動産による贈与の方が実質的には有利に財産を贈与することができますので、相続対策とともに事前に相談してください。

2016.04.12

贈与税の計算方法から暦年課税と相続時精算課税に学ぶ

贈与税の計算方法を暦年課税の一般税率及び特例税率と相続時精算課税の特例を例題と算式を用いて納税額まで解説しています。 平成27年1月1日以後に贈与により財産を取得して、相続時精算課税を選択せず暦年課税により贈与税の申告・納付する場合は、暦年課税方式を適用する場合の贈与税の税率構造が見直され、贈与税の税額の計算方法は平成27年分以降の贈与税の税率について一般贈与財産に対するものと特例贈与財産に対するものに区分された贈与税の速算表により贈与税の税額を計算します。
適用対象者の拡充が図られ、適用要件を満たして相続時精算課税を選択する場合の贈与税の税額の計算方法は、特別控除額2500万円を超えた部分に対して一律20%の税率を適用します。 相続時精算課税による贈与税額を計算する際には、暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできませんので、贈与を受けた財産が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があります。 相続時精算課税を選択した場合は、その選択した贈与者からの贈与については、その選択した年分以降は全て相続時精算課税が適用され、暦年課税へ変更することはできませんので注意が必要です。

1.暦年課税で贈与税のかからない範囲と計算方法

平成28年4月1日現在の法令等による贈与税の基礎控除額は、毎年110万円です。毎年その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計した金額が基礎控除額110万円以下の場合には、贈与税はかかりません。
基礎控除額は毎年110万円ですが、その年の1年間に複数の人から贈与を受けた場合は、その金額の合計額が基礎控除額以下の場合にのみ贈与税はかかりません。

2.相続時精算課税の特例による贈与税の税額の計算方法

平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産の贈与税について、(1)の適用要件を満たし相続時精算課税制度を選択した場合の贈与税の税額の計算方法は、(3)の計算例を参考にして下さい。贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。その財産の贈与を受けた人は、その財産を贈与した人ごとに相続時精算課税を選択することができます。相続時精算課税を選択するためには、贈与税の申告書の提出期限までに贈与税の申告書と相続時精算課税選択届出書を税務署に提出しなければなりません。
(1) 贈与者及び受贈者の適用対象者要件が以下にあります。
① 贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母又は祖父母であること。
② 受贈者は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者のうち、贈与者の推定相続人である子又は孫であること。(贈与者の推定相続人とは、贈与をした日現在において、その贈与をした人の直系卑属のうち、最も先順位の代襲相続権を含む相続権のある人をいいます。したがって、養子又は代襲相続人も含まれます。
(2) 贈与財産の価額から控除する特別控除額及び税率と計算式
① 贈与財産の価額から控除する特別控除額は2500万円です。
前年までに既に特別控除額を使用した場合には、2500万円から既に使用した額を控除した残額が特別控除額となります。
② 特別控除後の課税価格に乗ずる贈与税の税率は、一律に20%です。
③ 相続時精算課税の税額の計算式は「特別控除後の課税価格×20%=贈与税額」です。
(3) 贈与により3000万円の財産を取得した場合の計算例
① 特別控除後の課税価格は「3000万円-2500万円=500万円」です。
② 贈与税額は「500万円×20%=100万円」となります。

3.暦年課税による贈与税の計算方法

平成28年4月1日現在の法令等による暦年課税の贈与税の計算方法は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。次に、その合計額から基礎控除額110万円と贈与税の配偶者控除を差し引きます。
計算式では、その年に贈与を受けた財産の合計額 -(基礎控除額+配偶者控除額)= 贈与税の課税価格となります。
更に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。実務上は計算に便利な速算表を利用します。速算表の利用に当たっては基礎控除額110万円と贈与税の配偶者控除を差し引いた後の金額を当てはめて計算してください。それにより贈与税額が分かります。
暦年課税による贈与税の計算方法には、一般贈与財産用の計算方法と特例贈与財産用の計算方法、一般贈与財産用と特例贈与財産用の両方の計算が必要な場合の計算方法があります。贈与税の具体的な税額計算は、以下の計算例4・5・6を参考にして下さい。何れも年間に3000万円の財産の贈与を受け改正前より贈与税負担が減少した例題で計算方法や税額を比較出来るようにしています。

4.暦年課税による贈与税の一般贈与財産用の一般税率を使用する場合

(1) 例えば、下記5の特例贈与に該当しない次のような贈与の場合に、一般贈与財産用の一般税率を使用する(2)の計算方法になります。
・ 直系尊属以外の親族(夫、夫の父や兄弟など)や他人から贈与を受けた場合
・ 直系尊属から贈与を受けたが、受贈者の年齢が財産の贈与を受けた年の1月1日現在において20歳未満の者の場合(20歳未満の子や孫の場合)
兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合、他人間における贈与などに使用しますので注意が必要です。
(2)暦年課税による一般贈与財産の価額が3,000万円の場合の計算例
基礎控除後の課税価格は、3,000万円 - 110万円 = 2,890万円となります。
贈与税の速算表の一般贈与財産用の一般税率は50%で控除額は250万円です。
一般贈与の贈与税の額は、2,890万円 × 50% - 250万円 = 1,195万円となります。

5.暦年課税による贈与税の特例贈与財産用の特例税率を使用する場合

(1)例えば、財産の贈与を受けた年の1月1日現在において20歳以上の子や孫が父母又は祖父母から贈与を受けた場合に、特例贈与財産用の特例税率を使用する(2)の計算方法になります。
(2)暦年課税による特例贈与財産の価額が3,000万円の場合の計算例
基礎控除後の課税価格は、3,000万円 - 110万円 = 2,890万円となります。
贈与税の速算表の特例贈与財産用の特例税率は45%で控除額は265万円です。
特例贈与の贈与税の額は、2,890万円 × 45% - 265万円 = 1,035.5万円となります。

6.暦年課税による贈与税の一般贈与財産用と特例贈与財産用の両方の計算が必要な場合

(1)例えば、20歳以上の方が、配偶者(一般贈与)と自分の両親(特例贈与)の両方から贈与を受けた場合などに、一般贈与財産用と特例贈与財産用の両方の計算が必要な(2)の計算方法になります。
(2)一般贈与財産用と特例贈与財産用の両方の計算が必要な計算方法
暦年課税による贈与税の一般贈与財産用と特例贈与財産用の両方の計算が必要な計算方法は、下記Aにより計算した税額と下記Bにより計算した税額を合計します。
A 全ての財産を「一般税率」で計算した税額に占める「一般贈与財産」の割合に応じた税額を計算します。
B 全ての財産を「特例税率」で計算した税額に占める「特例贈与財産」の割合に応じた税額を計算します。
C 納付すべき贈与税額は、A + B の合計額です。
(3)暦年課税による一般贈与財産の価額が1,000万円と特例贈与財産の価額が2,000万円で合計価額が3,000万円の場合の計算例
A ① その年中に受けたすべての贈与が「一般贈与財産」からなるものと仮定して計算した場合の贈与税額を計算します。この場合は合計価額3,000万円を基に次のように計算します。(全ての贈与財産を「一般贈与財産」として「一般税率」で税額計算します。) よって、上記4(2)と同じ計算方法で税率も同じで計算します。
基礎控除後の課税価格は、3,000万円 - 110万円 = 2,890万円
一般贈与の贈与税の額は、2,890万円 × 50% - 250万円 = 1,195万円となります。
② 上記①の贈与税額のうち、一般贈与財産に対応する贈与税額を「一般税率」で計算します。
一般贈与財産に対応する贈与税額は、1,195万円 × 1,000万円 ÷ (1,000万円+2,000万円)= 398.3333万円となります。(1円未満端数切り捨て)
B ① その年中に受けたすべての贈与が「特例贈与財産」からなるものと仮定して計算した場合の贈与税額を計算します。この場合は合計価額3,000万円を基に次のように計算します。(全ての贈与財産を「特例贈与財産」として「特例税率」で税額計算します。) よって、上記5(2)と同じ計算方法で税率も同じで計算します。
基礎控除後の課税価格は、3,000万円 - 110万円 = 2,890万円
特例贈与の贈与税の額は、2,890万円 × 45% - 265万円 = 1,035.5万円となります。
② 上記①の贈与税額のうち、特例贈与財産に対応する贈与税額を「特例税率」で計算します。
特例贈与財産に対応する贈与税額は、1,035.5万円 × 2,000万円 ÷ (1,000万円+2,000万円)= 690.3333万円となります。(1円未満端数切り捨て)
C 納付すべき贈与税額の計算は、Aの一般贈与財産の税額 + Bの特例贈与財産の税額 = 贈与税額となります。
上記の場合の納付すべき贈与税額は、Aの398.3333万円 + Bの690.3333万円 = 1,088.66万円となります。(100円未満端数切り捨て)

7.相続時精算課税の特例及び暦年課税と相続税との関係

(1)相続時精算課税の特例を選択した場合の相続税との関係
贈与者が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額に相続時精算課税を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算することになります。 その際に既に支払った贈与税相当額を相続税額から控除することになります。控除しきれない金額は還付できます。
(2)暦年課税の場合の相続税との関係
贈与者が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額に贈与財産の価額を原則として必要ありません。ただし、相続開始前3年以内に贈与を受けた財産の価額(贈与時の時価)を加算することになります。
(3)贈与税は相続税の補完税です。両者とも相続税との関係を考慮し、メリットとデメリットを考えて選択する必要があります。

2016.04.11

贈与税の最高税率は55%!暦年課税の税率の構造改正による影響

贈与税の最高税率55%へ引き上げと暦年課税による贈与の税率の構造見直しにより、贈与税負担の増減があります。平成28年4月1日現在の法令等による現行の贈与税の課税体系は、平成25年度税制改正を基礎として、平成27年1月1日以後に贈与により財産を取得した場合の税制改正が完全実施されています。贈与税の最高税率引き上げと暦年課税を選択する場合の税率構造の見直しによる影響について検証する必要があります。

1,暦年課税を選択する場合の贈与税の税率構造の見直し

平成27年1月1日以後に贈与により取得した財産に係る贈与税の計算方法については、暦年課税方式(その年1月1日から12月31日までの1年間を単位として課税)に適用される贈与税の超過累進税率の構造が、改正前の平成26年分以前における贈与者及び受贈者の要件に関係なく一定とされていた「一律適用」から、受贈者の年齢及びその受贈者と贈与者との関係に応じて、「一般贈与財産に対するもの」と「特例贈与財産に対するもの」と2種類の累進税率構造の異なる「区分適用」に改正され施行されています。

2.特例贈与財産に対する贈与税の特例税率の速算表

平成27年分以降の贈与税の税率は、一般贈与財産用の一般税率と特例贈与財産用の特例税率に区分されました。 下記の「特例贈与財産用の特例税率の速算表」は、
その年の1月1日現在に於いて20歳以上である贈与を受けた者(子・孫など直系卑属)が、直系尊属(祖父母や父母など)から贈与を受けた財産(特例贈与財産と定義されています)についての贈与税の計算に使用します。 例えば、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などに使用しますので、夫の父からの贈与等には使用できませんので注意が必要です。

贈与税の基礎控除・配偶者控除後の
課税価格  200万円以下  400万円以下  600万円以下  1,000万円以下
税 率      10%        15%       20%         30%
控除額      ‐         10万円      30万円       90万円

贈与税の基礎控除後・配偶者控除の
課税価格 1,500万円以下  3,000万円以下  4,500万円以下  4,500万円超
税 率      40%          45%       50%        55%
控除額    190万円       265万円      415万円      640万円

3.一般贈与財産に対する贈与税の一般税率の速算表

平成27年分以降の贈与税の税率は、一般贈与財産用の一般税率と特例贈与財産用の特例税率に区分されました。
下記の「一般贈与財産用の一般税率の速算表」は、上記2の「特例贈与財産用の特例税率」に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。
上記2以外の形態により贈与を受けた財産(一般贈与財産と定義されています。)に適用される贈与税の税率です。例えば、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合、他人間における贈与などに使用しますので注意が必要です。

贈与税の基礎控除・配偶者控除後の
課税価格   200万円以下  300万円以下  400万円以下  600万円以下
税 率      10%       15%       20%      30%
控除額      ‐         10万円     25万円      65万円

贈与税の基礎控除・配偶者控除後の
課税価格  1,000万円以下  1,500万円以下  3,000万円以下  3,000万円超
税 率       40%         45%        50%       55%
控除額     125万円      175万円      250万円     400万円

4.見直し改正により贈与税負担の増減があります

上記2及び上記3の贈与税の暦年課税については、特例贈与財産と一般贈与財産とに区分し、贈与税の税率構造の見直しと贈与税の最高税率55%の導入により、贈与財産の価額に応じて改正前と後に贈与税負担の増減が発生します。(下記の納付すべき贈与税額の試算は、税務研究会「税務QA」平成28年4月号P14に税理士・笹岡宏保氏が執筆された記事を転載しました。)

一般贈与財産の贈与に対する試算

・贈与財産の価額が1,100万円以下である場合には、贈与税負担に増減なし
・贈与財産の価額が1,100万円超3,610万円未満である場合には、贈与税負担が減少
・贈与財産の価額が3,610万円である場合には、贈与税負担に増減なし
・贈与財産の価額が3,610万円超である場合には、贈与税負担が増加します。

特例贈与財産の贈与に対する試算

・贈与財産の価額が 410万円以下である場合には、贈与税負担に増減なし
・贈与財産の価額が410万円超8,410万円未満である場合には、贈与税負担が減少
・贈与財産の価額が8,410万円である場合には、贈与税負担に増減なし
・贈与財産の価額が8,410万円超である場合には、贈与税負担が増加します。

まとめ

閣議決定された平成25年度税制改正の大綱において、社会保障と税一体改革を着実に実施するため、所得税、相続税及び贈与税についての所要の措置の1つとして登場した贈与税の税率構造の見直しですが、この贈与税負担の増減は皆様の贈与への促進へと繋がりましたでしょうか。