2016.05.07

相続税の申告と失踪宣告・遺産分割協議について

相続税の申告は民法の相続制度との関係が深く、行方不明者がいると遺産分割協議が出来ないことになります。そこで民法上の失踪宣告や戸籍法上の認定死亡という制度があります。相続税の実務は申告と民法の相続制度との兼ね合いは勿論ですが、特例的な税法の取扱いまで確認事項が幅広く存在します。遺言の有無の確認と検認等の手続き、相続人の確認と確定、相続分の確定、相続財産・相続債務の調査と確定、遺産分割と分割協議書の作成へと進みます。

1.行方不明者がいる場合の遺産分割協議

遺産分割協議は、共同相続人全員が協議することが大前提となります。そこで行方不明者がいると遺産分割協議は出来ないことになってしまいます。
(1)民法上の制度として行方不明者については、失踪宣告という制度があります。失踪宣告は7年以上生死不明の場合に配偶者、相続人などの利害関係人が家庭裁判所に失踪宣告の申し立てをすることが出来る制度です。失踪宣告が認められるとその人は死亡したものとみなされるため、残った相続人で遺産分割協議を行うことになります。
(2)しかし失踪宣告が認められるまでには長い期間を要し、いつまでも遺産分割協議ができないというのでは大変不都合です。このような場合には、他の共同相続人が利害関係人として家庭裁判所に財産管理人の選任を請求して、選任された財産管理人が遺産分割協議に参加することになります。
財産管理人は、不在者のために財産の保存、利用、改良する行為しか認められていないため、遺産分割協議を成立させるためには、改めて家庭裁判所の許可を得る必要があります。
(3)不在者の財産の管理
不在者の財産の管理については、民法第25条において、「従来の住所又は居所を去った者(不在者)が、その財産の管理人を置かなかったときは、家庭裁判所は利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。」と規定しています。
(4)管理人の権限
管理人の権限について、民法第28条において、「管理人は、民法第103条(下記(6)参照)に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者の定めた権限を超える行為を必要とするときも同様とする。」と規定しています。
(5)失踪の宣告
失踪の宣告について、民法第30条において、「不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は利害関係人の請求により失踪の宣告をすることができる。」と規定しています。
(6)権限の定めのない代理人の権限
権限の定めのない代理人の権限について、民法第103条において、「権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。 一 保存行為 二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為」と規定しています。

2.失踪宣告とその取り消し

(1)失踪宣告
生死不明の状態が普通失踪の場合は7年間、特別な危難に遭遇した場合の特別失踪は危難が去ってから1年間、それぞれ継続している場合には、その生死不明の不在者に対する失踪宣告をすることについて、法律上の利害関係者が家庭裁判所に失踪宣告の請求をして家庭裁判所の失踪を宣告する裁判があったことにより、その不在者は死亡したものとして相続が開始します。ところで、失踪宣告の申立がされると家庭裁判所の調査官により申立人や不在者の親族に対して調査が行われます。その調査後に官報や家庭裁判所の掲示板で家庭裁判所が定めた3ヶ月以上の期間内(危難失踪の場合は1ヶ月以上の期間内)に、不在者は生存の届出、不在者の生存を知っている人はその届出をするように催告します。その届出期間内に届出などがなかったときに失踪の宣告がなされます。失踪宣告の審判を請求した者は、失踪宣告の審判が確定してから10日以内に失踪の届出の戸籍の届出を行う必要があります。この失踪宣告の制度は、従来の住所または居所を去って帰来しない者(生死不明の不在者)をいつまでも生存者として取り扱うと、その財産関係や身分関係が不確定な法律状態のまま放置すると不都合が生ずるために設けられている制度です。
(2)失踪宣告の取り消し
失踪宣告を受けた者の生存が確認された場合や失踪宣告により死亡したとみなされた時と異なる時に死亡したことが後日証明された場合には、家庭裁判所は本人又は利害関係人の請求により、失踪宣告を取り消すことになります。失踪宣告が取り消されると失踪宣告は初めからなかったこととして取り消されます。民法は一定の制限を設けた上で失踪宣告を原因とする法律関係は全て復活して相続した財産も移動が生じることになります。
(3)失踪の宣告
失踪の宣告について、民法第30条において、「① 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は利害関係人の請求により失踪の宣告をすることができる。 ② 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ。戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、前項と同様とする、」と規定しています。
(4)失踪の宣告の効力
失踪の宣告の効力について、民法第31条において、「前条第1項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第2項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。」と規定しています。
(5)失踪の宣告の取り消し
失踪の宣告の取り消しについて、民法第32条において、「① 失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取り消しは、失踪の宣告後その取り消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。 ② 失踪の宣告によって財産を得た者は、その取り消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。」と規定しています。

3.認定死亡

認定死亡は、水難や火災その他の事変により死体は発見されないが死亡が確実である場合に、取り調べをした官庁等が死亡地の市町村長に死亡の報告をすることによって戸籍簿に死亡の記載がされます。認定死亡は死亡を事実として認定するものであり、失踪の宣告のように死亡とみなす制度ではなく、取り消しの制度もありませんので戸籍の記載の誤りは裁判上で個々に争って訂正することになります。
(1)戸籍法第86条において、「① 死亡の届出は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡があったときは、その事実を知った日から3箇月以内)に、これをしなければならない。 ② 届出には次の事項を記載し、診断書又は検案書を添付しなければならない。 一 死亡の年月日時分及び場所 二 その他法務省令で定める事項」と規定しています。
(2)戸籍法第89条において。「水害、火災その他の事変によって死亡した者がある場合には、その取り調べをした官庁又は公署は、死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。但し、外国又は法務省令で定める地域で死亡があったときは、死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。」と規定しています。

2016.04.08

相続税の計算方法を知っておきたい方へ

平成27年1月1日以後の相続については基礎控除額税率等が変更されました。
相続税の一般の場合の計算方法は、その計算順序として、各人の課税価格の計算により求めた正味の遺産総額から相続税の基礎控除額を引き、課税遺産総額を計算します。次に、その課税遺産総額を法定相続分で按分して相続税の総額を計算します。次に、その相続税の総額を実際の相続割合で按分して各人の相続税額を計算します。最後に各人の相続税額から配偶者の税額軽減額・諸控除や加算等を行い、各人の相続税の納付税額を計算します。以下は平成28年4月1日現在の法令によって相続税の計算方法を順次説明しています。

1.相続税がかからない場合について判定の計算方法

正味の遺産額が基礎控除以下の場合には、相続税はかかりません。
相続税の基礎控除額の計算は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で求めます。
例えば、法定相続人が妻と子2人の場合の基礎控除額は
3,000万+600万×3人=4,800万円となります。

2.相続税の各人の課税価格の計算方法について

各人の課税価格の計算方法は、最初に相続や遺贈及び相続時精算課税の適用を受ける贈与によって財産を取得した人ごとに、各人の課税価格を次のように計算します。
{相続又は遺贈により取得した財産の価額}+{みなし相続等により取得した財産の価額(注1)}- {非課税財産の価額} + {相続時精算課税を適用した贈与財産の価額(注2)} - {債務及び葬式費用の額} = {純資産価額(注4)(赤字のときは0円)}
{純資産価額(注4)}+{相続開始前3年以内の贈与財産の価額(注3)}= 各人の課税価格(千円未満切捨て)

注1)死亡保険金、死亡退職金など本来の相続財産ではありませんが、相続財産とみなして課税価格に算入します。なお生命保険金や死亡退職金の非課税限度額は、それぞれ500万円×法定相続人の数で計算します。
注2)相続時精算課税の特定贈与者(相続時精算課税に係る贈与者(親や祖父母)をいいます。)が死亡した場合には、相続時精算課税の適用者(受贈者)が特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しない場合であっても、相続時精算課税の適用を受けた贈与財産は相続又は遺贈により取得したものとみなされ、贈与の時の価額で相続税の課税価格に算入されることになります。
注3)相続又は遺贈により財産を取得した相続人等が、相続開始前3年以内にその被相続人からの暦年課税に係る贈与によって取得した財産の価額をいいます。
注4)純資産価格は一般的には、正味の遺産額と表現しています。土地・建物や預貯金等の財産から借入金や未払金等の債務及び葬式費用の額を引いたものが正味の遺産額となります。みなし相続財産の死亡保険金や死亡退職金はそれぞれ非課税限度額を超えた部分の額が加算されます。例えば、現金・預貯金・株式など 6,500万円 土地 1,500万円 建物 1,000万円 死亡保険金(保険金 6,000万円 – 500万円 × 3人) = 4,500万円 の場合には遺産の総額は 1億3,500万円 となり、借入金が 500万円 あり、葬儀費用に 200万円 かかった場合には、正味の遺産額(純資産価格)は 1億2,800万円 となります。

3.相続税の課税遺産総額の計算方法について

上記2の正味の遺産額から基礎控除額を引いたものが課税遺産総額になります。
上記2の注4の例題の場合は1億2,800万円-4,800万円=8千万円となります。
基礎控除額の計算は、3,000万円+600万円×3(法定相続人の数)となります。

4.相続税の総額の計算方法について

上記3の課税遺産総額を法定相続分で分割したものと仮定し、法定相続分で按分して相続税の総額を計算します。

上記3の例題の法定相続分で按分する計算方法

上記3の例題の課税遺産総額 8千万円を法定相続分で按分計算すると次のようになります。
妻  8千万円 × 1/2 = 4,000万円 (実際の正味の遺産額 6,000万円)
長女 8千万円 × 1/4 = 2,000万円 (実際の正味の遺産額 3,800万円)
長男 8千万円 × 1/4 = 2,000万円 (実際の正味の遺産額 3,000万円)

上記3の例題の相続税の総額の計算方法

相続税の総額の計算は、相続税の速算表で相続税額を計算します。
妻  4,000万円 × 20%(税率) - 200万円(控除額) = 600万円
長女 2,000万円 × 15%(税率) - 50万円(控除額) = 250万円
長男 2,000万円 × 15%(税率) - 50万円(控除額) = 250万円
相続税の総額は各人の税額の合計額 1,100万円となります。

5.各人ごとの相続税額の計算方法について

相続税の総額を、財産を取得した人の課税価格に応じて割り振って、財産を取得した人ごとの税額を計算します。
相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額 = 各相続人等の税額

上記4の例題の相続税の総額1,100万円を実際の相続割合で按分すると各相続人等の算出税額は次の通りとなります。
妻  1,100万円 × 6,000万円 ÷ 1億2,800万円 = 5,156,250円
長女 1,100万円 × 3,800万円 ÷ 1億2,800万円 = 3,265,625円
長男 1,100万円 × 3,000万円 ÷ 1億2,800万円 = 2,578,125円

6.各人の納付・還付税額の計算について

上記5で計算した各相続人等の税額から各種の税額控除額を差し引いた残りの額が各人の実際に納める納付税額になります。
上記5の妻の場合には、配偶者の相続税の軽減(判定計算省略)の適用があるので、
妻の算出税額 5,156,250円 - 配偶者の相続税の軽減 5,156,250円 = 0円となり、妻の差引税額は0円で実際に納める申告納税額はありません。

ただし、財産を取得した人が被相続人の配偶者、父母、子供以外の者である場合には、税額控除を差し引く前の相続税額にその20%相当額を加算した後に税額控除額を差し引きます。
なお、子供が被相続人の死亡以前に死亡しているときは孫(その子供の子)について相続税額に加算する必要はありません。子供が被相続人の死亡以前に死亡していない場合の被相続人の養子である孫については相続税額に加算する必要があります。

実際の各種税額控除等は次の順序で計算します。

各相続人等の算出税額 + 相続税額の2割加算金額 - 暦年課税分の贈与税額控除額 - 配偶者の税額軽減額 - 未成年者控除額 - 障害者控除額 - 相次相続控除額 - 外国税額控除額 = 各相続人等の控除後の差引税額(赤字のときは0)

各相続人等の控除後の差引税額 - 相続時精算課税分の贈与税額控除額 - 医療法人持分税額控除額 = 各相続人等の納付すべき税額となります。
ただし、相続時精算課税分の贈与税相当額を控除した結果、0円以下となるときには医療法人持分税額控除額も0円となります。

相続税の計算方法のまとめ

上記6の計算で各相続人等の納付すべき申告納税額が赤字となる場合には、赤字となった金額から相続時精算課税分の贈与税の計算をする際に控除した外国税額を差し引いた金額を還付を受けることができます。
相続税の相談・相続税の申告期限と相続手続き・相続税の申告は税理士へご相談ください。

2016.04.04

相続税の相次相続控除について

相次いで相続(相次相続)が発生することがあります。
平成26年6月にお父様Aが亡くなり、平成27年3月にお母様Bが亡くなり、一週間後にお兄さんCが亡くなられました。妹さんDから相続税の申告依頼を受けて平成28年1月に相続税の申告を完了しました。相次相続控除の適用外で相続税の軽減が無く、妹さんに相続税が集中してしまいました。以下に、相続税の相次相続控除の要件などについて説明します。

1.相続税の相次相続控除とは

今回の相続開始前10年以内に被相続人が相続又は遺贈や相続時精算課税を適用して贈与により財産を取得して相続税が課されていた場合には、その被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税を適用して贈与により財産を取得した人の相続税額から、一定の金額を控除する相続税の軽減措置です。

2.相次相続控除が受けられる人とは

相次相続控除が受けられる人とは、次の全てに当てはまる人に限られます。
(1) 被相続人の相続人であること
(2) その相続の開始前10年以内に開始した相続により被相続人が財産を取得していること
(3) その相続の開始前10年以内に開始した相続により取得した財産について、被相続人に対し相続税が課税されたこと

3.相続を放棄した者等は相次相続控除の適用なし

この制度の適用対象者は、相続人に限定されていますので、相続の放棄をした人及び相続権を失った人については、たとえ遺贈により取得した財産がある場合においても、相次相続控除は適用されないので注意が必要です。

4.相続人以外の包括受遺者は相次相続控除の適用なし

民法第990条では包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有すると規定されているので、相次相続控除に規定する相続人には、包括受遺者も含まれるのではという疑問が生じます。しかしながら相続人に包括受遺者を含む旨は規定していない。さらに、包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有するものの、財産の取得に被相続人の遺言を要する点で相続人とは異なる、相続税法では両者を別に扱っていると解することも適当であると考えることになります。したがって、相続人でない者で包括受遺者となる者が遺贈により財産を取得する場合には、相次相続控除の適用はないとされていますので注意が必要です。(平成28年3月18日公表東京国税局事前照会文書回答事例参照)

5.第2次相続の被相続人の範囲に注意

第2次相続の被相続人がその相続の開始前10年以内に開始した相続(被相続人からの相続人に対する遺贈を含む。)によって取得した財産(その相続の被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む。)につき課せられた相続税額について適用があります。第2次相続に係る被相続人の被相続人が納付した相続税額については適用がないので注意が必要です。

6.各相続人の相次相続控除額の計算は

相次相続控除は、前回の相続において課税された相続税額のうち、1年につき10%の割合で逓減した後の金額を今回の相続に係る相続税額から控除しようというものです。

各相続人の相次相続控除額は、次の算式により計算した金額です。
なお、被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人のうちに農業相続人がいる場合は、一部の計算が異なります。

A × C / ( B – A ) [求めた割合が 100/100 を超えるときは、 100/100 とします ]
× D / C × ( 10 – E ) / 10 = 各相続人の相次相続控除額

※ 算式中の符号は、次のとおりです。
Aは、第2次相続の被相続人が第1次相続により取得した財産(その第1次相続の被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む。)につき課せられた相続税額(相続時精算課税の適用を受ける財産につき課せられた贈与税があるときは、その課せられた贈与税の税額(在外財産に対する贈与税額の控除前の税額とし、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額を除く。)を控除した後の金額をいう。)です。

Bは、第2次相続の被相続人が第1次相続により取得した財産(その第1次相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む。)の価額(債務控除をした後の金額)です。

Cは、第2次相続により相続人及び受遺者の全員が取得した財産(その相続の被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む。)の価額(債務控除をした後の金額)です。

Dは、第2次相続により、その控除対象者が取得した財産(その相続の被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む。)の価額(債務控除をした後の金額)です。

Eは、第1次相続開始の時から第2次相続開始の時までの期間に相当する年数です。
(1年未満の端数は切捨てます)

まとめ

冒頭のケースでは、相続税の基礎控除額改正前に第1次相続が開始し、相続税が課税されなかったため相次相続控除の適用対象外でした。さらに兄弟姉妹間の相続となり、相続税の2割加算が適用されました。しかしながら10年以内に相次いで相続を受けた方は相続税の優遇を受けることができる可能性がありますので、相続税の申告時に税理士に依頼をして判定をしてもらう事をお勧めします。

2016.04.02

相続税の申告期限と相続の手続きについて

相続税の申告と納付は、相続の開始があったことを知った日(一般的には被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内に申告と納付をしなければなりません。葬儀や法要、相続放棄や限定承認の決定、被相続人の準確定申告、遺産の調査・評価・鑑定や遺産分割協議、相続税申告の要否判定などと結構、時間が足りなくなり相談者は慌てることがあります。
相続開始から相続税の申告期限までの標準的な相続の手続きと期限は次のようになります。

あっという間に3か月以内の相続関係手続きの申述期限です。

関係者へ訃報連絡と葬儀の準備とともに7日以内に被相続人の本籍地の市区町村役場等へ死亡届を提出し、御通夜・ご葬儀と慌ただしい日々を過ごされても葬式費用の領収書等の整理と保管は大切です。四十九日法要・納骨の前後には、遺言書の有無を確認し、遺言書が有る場合には被相続人の住所地の家庭裁判所の検認と開封を受けます。戸籍謄本や除籍謄本などを取り寄せて相続人の確認を行い、未成年者の特別代理人の選定準備、相続放棄・限定承認する場合にも被相続人の住所地の家庭裁判所へ3か月以内に申述しなければなりません。したがって、遺産・債務・生前贈与・所得の概要を把握する時期でもあります。

あっという間に4か月以内の所得税準確定申告の申告期限です。

相続人は被相続人の死亡した日までの所得税・復興特別所得税、消費税・地方消費税を被相続人の納税地の税務署へ4か月以内に申告・納付しなければなりません。

あっという間に10か月以内の相続税の申告期限です。

被相続人の不動産など遺産の調査と評価(鑑定)を行いますが、根抵当権の設定された物件は6か月以内に登記することとなります。財産目録に基づき相続人間で遺産分割協議を行います。各相続人が取得する財産、負担する債務・葬式費用を把握し、各相続人が負担する相続税を計算し納税資金を検討します。例えば、平成28年4月3日に相続が開始した(被相続人が亡くなった)場合は、平成29年2月3日迄に相続税の申告と相続税を現金で一括納付(一定の条件のもとに延納や物納による方法もあります。)しなければなりません。
相続税の申告期限までに遺産分割が行われていなければ、当初の申告時には小規模宅地等の課税価格の特例及び配偶者の税額軽減の特例を受けることができないことになりますが、如何でしょうか。おおまかな流れを掴んでいただき、それぞれの専門家と相談しながら相続スケジュールに従って相続手続きを進めましょう。下記はスケジュールのイメージです。
schedule

 

2016.03.30

相続税の税率構造の改正による納税資金への影響

相続税の再分配機能と財源調達能力を回復させるために基礎控除額の引き下げが行われ、さらに最高税率引き上げとともに、税率構造の見直し改正が行われました。

相続税の総額を計算するときの最高税率は55%へ増税

平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により財産を取得した場合には、相続税の総額を計算するときに、課税遺産総額を法定相続分通りに分けた場合の法定相続分に応ずる取得金額が6億円を超える部分については、改正により引き上げられた相続税の最高税率55%が適用され増税となります。高額の遺産取得者に負担を求めるという改正ですが、如何でしょうか。

相続税の税率構造も見直されて増税となる場合がある。

さらに法定相続分に応ずる取得金額が1億円を超え3億円以下の場合には40%とされていた相続税の税率を、2億円を超え3億円以下の部分については税率構造が見直されて45%に引き上げられて相続税の増税となりました。相続税の税率構造の見直し改正による影響を受ける相続人の数は少ないものと思われますが、如何でしょうか。

相続税の税率が改正されなかった相続税の総額の基となる税額は

・法定相続分に応ずる取得金額が1億円を超え2億円以下の場合には
40%-1700万円となります。
・法定相続分に応ずる取得金額が1億円以下の場合には
30%-700万円となります。
・法定相続分に応ずる取得金額が5千万以下の場合には
20%-200万円となります。
・法定相続分に応ずる取得金額が3千万以下の場合には
15%-50万円となります。
・法定相続分に応ずる取得金額が1千万以下の場合には
10%(控除額なしです。)となります。

相続に備えるには、遺産分割のための対策や税金対策の他に、納税資金対策の3つをバランスよく検討しましょう。

kasikoku

2016.03.19

相続税の基礎控除の改正で課税対象者は1.5倍に

 実家の相続!相続税の増税は人ごとじゃないかも!でも相続税は計算の仕組みが複雑で申告する際には落とし穴が少なくありません。 相続対策をする前に最低限知っておきたい相続税の基礎・勘所は相続税の課税価格から差し引かれる非課税部分の基礎控除(非課税枠)ですよね。

相続税の基礎控除引き下げで相続税は増税に!

 平成27年1月1日からの相続について相続税が改正され、相続税の非課税部分の基礎控除は4割も引き下げられています。今までは相続税とは無縁だった相続でも、相続税の課税対象になる家庭が増えています。 具体的な基礎控除額(非課税枠)は、3000万円+600万円×法定相続人の数に改正されています。例えば、相続人が子供2人だった場合、相続税の非課税部分の基礎控除額は4200万円と言うことになります。皆様は如何でしょうか。相続税の課税対象者は相続税の改正前と比べ、全国平均では1.5倍に予想されています。

相続税の基礎控除引き下げで相続税収が大幅に増加中!

 相続税の申告は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内に行うことになっているため、平成27年1月から適用されている相続税の基礎控除額引き下げなどの相続税改正の影響は、主に昨年11月以降に反映されています。相続税はもともと大口の相続などに税収が大きく左右され単月の結果のみでは、増税効果は計りにくいが過去1年間の税収動向は安定的に前年比を上回っている。平成27年11月以降の相続税収は、ほぼ前年同月比で2割以上増加中で増税効果が顕著になりつつあります。平成27年12月の相続税収は2137億円で29.9%増、平成28年1月は1381億円で24.8%増と速報されています。

相続税の基礎控除は過去にも改正を重ね、課税割合も変遷して行く

 相続税の基礎控除は、昭和63年1月以降に適用された抜本改正ではバブル景気による土地価格の高騰を受けて、相続人が相続税を納税できずに自宅を手放さなければならない問題が生じてしまい、基礎控除額が2倍に引き上げられていた。4000万円+800万円×法定相続人の数という基礎控除額でした。その当時は亡くなられた人全体に占める相続税の課税対象となった相続人の割合(課税割合)は、抜本改正前の昭和62年では7.9%でした。改正後は3.3ポイント減少して4.6%に減少していました。
 その後も基礎控除額は引き上げられて平成6年1月以降、平成26年分の相続まで基礎控除額は5000万円+1000万円×法定相続人の数でした。平成6年分相続税の課税割合は5.2%、平成26年分相続税の課税割合は4.4%と推移しています。財務省は昨年の基礎控除額の引き下げにより相続税の課税割合が6%程度に上昇すると見込んでおり、平成26年分相続税の1.5倍となる。確かに当事務所への相続税申告の依頼件数も激増しています。

 相続税の計算方法については、基礎控除と税率構造が見直された他は従前通りです。基礎控除額の引き下げによる相続税の負担を避けるために配偶者の税額軽減額を最高限度まで活用(配偶者が法定相続分又は1億6千万円までの財産を取得)することが考えられます。しかしながら、目の前の税金にとらわれることなく、1次相続と2次相続の合計相続税額を考慮した上で遺産分割を検討されることもお勧めです。
国税庁ではサイト上に相続税の申告が必要か否かを判断できるコーナーを設けています。相続財産額や法定相続人の数などを入力していく仕組みです。
税務署に電話予約して相談に行く事もできますが、平日に限られます。
当事務所では相談日時についても御相談に応じています。

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